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機動戦士ガンダムSEED編
第26話 前編
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た虎の子であるM1アストレイに余程の自信があったのかもしれない。

 だが彼等はMS戦に於いてある一つの重要な要素を理解していなかった。


 それによって模擬戦の展開が彼等の予測とは違う結果になるとも知らずに。
 

 

















 スラスターで戦闘エリアを跳び回っているM1アストレイのパイロット マユラ・ラバッツはこの模擬戦の現在の戦況に激しい焦燥感を抱いていた。


「当たれ! 当たれ!」


 彼女の駆る機体を含めた三機のM1は幾度となくビームライフルの銃口をジンに向け、模擬戦用に搭載したペイント弾を撃ち続いているが今まで全く。そして現在も当たる事が一度も無い(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のだ。


「何で一発も当たらないのよ!?」


 ジンの機動性は明らかにザフトや傭兵などが使っている物から逸脱しており、下手をすればM1さえ超えているやもしれないという速さだ。

 その素早さを見た時点では、少なくとも苦戦は免れず負ける確率が高いであろう事は彼女にも容易に想像できた。
 
 ただでさえ相手は本当の戦場で何度も戦ってきた手練れの傭兵だという話なのだ。対してパイロットである自分は本格的な戦闘など一度も経験した事のない素人で、その上相手の機体性能が此方のものを上回っているのなら勝てる見込みは限りなく薄い。


 だが、やってやろう。


 これでも今までM1のテストパイロットを務めてきた者としての矜持はある。

 せめてジンの装甲にペイント弾の一発は当ててやろう、と息巻いていたのだが────今のところそれは実現させる事ができずにいる。


 決意とは裏腹に現実は相手と自分との力量の差を明確に物語っていた。
 

 相手が強い事は分かっていたつもりだったが、その力は自分の予想を遥かに上回っていたのである。
 まだ彼方は攻撃してこないが、今の自分では防御して防ぐ事すらかなわないだろう。
 

 もしもこれが実戦だったら───


 
「(違う。………これは模擬戦、模擬戦なんだから──)」


 だが、一度想像してしまうとどうしてもその考えを振り払う事ができない。
 彼女は気付いていなかった。そこから生まれるその恐怖が、その焦りが、機体の動きより単調し相手をより有利に立たせている事に。


『遅い』


 そして、ジンのパイロット──洸はその隙を見逃さなかった。

 すぐさま彼はスラスターの出力を上げてマユラのM1の裏手に回り込み、そこから勢いよく回し蹴りを叩き込んだのだ。


「きゃあぁぁぁ!!?」


 蹴りが機体の背中へ綺麗に入り、その衝撃はコックピ
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