光を齎(もたら)す者
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「んん……」
部屋の中に鳴り響く、デジタルの目覚まし時計の騒がしい音で目を開ける。
頭上にあるカーテンの隙間から少年の顔を覗くかのように眩しい日の光が差し込む。
反射的に目が細くなり、腕で影を作った。だが、これらのお陰で脳も目覚めた。
「ふわあ〜……」
体を起こしたあと、あくびをしながら両腕を天井に向けて伸ばし、簡単なストレッチをする。
ベッドを降りて、身支度や朝食作り、登校の支度をした。
携帯から着信音が流れる。『カズヒコ』と言う名の人物から電話がかかってきた。
「もしもし、カズヒコ?」
少年は電話を取り、着信に応答した。
《あっ、ミチルか? 良かった……》
「どうしたんだ?」
カズヒコが一瞬慌てていたようだが、ミチルと呼ばれる少年が電話に出たことに一安心する。
何か起こったのだろうかと不安に思い、カズヒコに状況を尋ねる。
《この前の数学の宿題、会っただろ?》
「ああ。あったな」
ミチルはふと思い返す。
(確かにあったな……)
このシチュエーションで掛けてくる、ということはカズヒコが次に取るべき行動はこれしかないと悟った。
《それを見せてくれ! 頼む!》
(やっぱり……)
ミチルとカズヒコは親友の仲で互いに相手のことは熟知している。ミチルが苦手なもの以外は。
どうやらカズヒコは勉強は苦手らしい。
「お前、まだやってなかったのかよ……」
カズヒコのお願いは、数学の宿題の模写…要は書き写しだ。ミチルは正直呆れていた。
《後でお前の好きなジュース奢るからさ!》
「…わかったよ」
1回溜息を吐き、親友からの頼みとなれば仕方ないと思い、カズヒコに助け舟を出した。
《やったー! さすが俺の大親友! じゃ、学校で会おうな!》
テンションが上がっているカズヒコは、電話を切った。
「やれやれ……」
ミチルは呟きながら、携帯をポケットに入れた。
登校用カバンを持って、トーストを口に銜えながら、玄関に向かった。足を靴に入れ、つま先を地面に何回も叩いたり、指を使ったりしながら履いた。
扉を開け、銜えてるトーストをパクパクと食べながら歩いた。
食べ終えた後、時間を気になり出したので携帯を見る。画面に『7:17』と大きく表示されていた。
「やべっ! 早くしないと、モノレールに間に合わない!」
ミチルは走ってモノレールステーションに向かった。学校が自宅から遠いものだから、モノレールに乗って行くのだ。
数分後、なんとか時間内に駅に辿り着いた。自動改札機に切符を入れてから通過し、再び切符を取り出す。
階段を上り、プラットホームにちょうど乗らなければならないモノレールもあった。時間は7時29分。そのモノレールに乗った直後、車掌がアナウンスをし、扉を閉めて発進した
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