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叛逆天使の英雄物語(サーガ・イストリア)
光を齎(もたら)す者
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ったのも、レミと呼ばれる少女だった。
「太平洋沿海にいるデーモンの様子は?」
「海上自衛隊の視察艦隊から連絡が来たのだけど、今のところ大した動きはない。けど、念には念を入れて、準備はしときなさい。レミちゃん」
「了解です」
 レミはディランに向けて敬礼をする。
「君たちも、だ。椿姫ちゃん、ヒビキちゃん」
「わかったどす」
「だーかーら、"ちゃん"付けで呼ぶなって!」
「…わかった、わかったよ」
 彼女たちが移動しようとしたとき、ディランがレミを呼び止める。
「あ、レミちゃん。ちょっと待って」
 レミは「なんでしょう?」と何食わぬ顔で言う。
「…本当にやるのかい? ルシファーとの【天装】は、まだ完全ではないんだ」
 ディランの心配する一言に一瞬不安な顔を見せるレミ。だが、後に決意した顔つきになった。
「…私がやらないと、この国を守ることができません…。だから、僅かでも可能性に賭けてみる価値はあると思います。覚悟は…できています!」
「そうか。なら、私は君を止めないよ。ただし、危険と判断した場合は君を強制的に連れ戻す。いいね?」
 ため息を吐いたディランだったが、レミの覚悟に同情を寄せた。
「…はい!」
「レミちゃん、大丈夫でしょうか……」
「ルシファーとの【天装】は未だ不安定な状態だ。けど、他の支部よりも戦力的に乏しい日本支部は我々の最後の切り札であり、希望でもある」
 ディランのスーツのポケットにある携帯が着信が来たのか振動している。ディランはすかさず携帯を取り出し、通話した。
「わたしだ。…わかった。高木川省長にこのことを連絡しておく」
 一言ですぐに通話を切り、少し焦った様子になったディラン。何かあったのかと苅部と呼ばれる女性がディランを尋ねる。
「ど、どうしたのですか?」
「海上自衛隊からだ。ニーズ・ヘッグが遂に動いたらしいぞ…!」
「それって、ここに向かってるのですか!?」
 恐れていたことなのかと苅部はディランに問う。
「ああ。私は直接高木川省長に連絡する! ミス・苅部は彼女たちを呼び戻してくれ!」
「わ、わかりました!」
 緊急事態で慌ただしくなり、苅部はレミたちの元へ向かい、ディランは防衛省長である高木川元三郎に連絡した。
 ――防衛省・省長室にテレフォンから着信が室内に響く。
「私だ」
 高木川防衛省長がテレフォンの受話器を取り、送話器に向けて渋い声で発した。
『高木川省長』
「ゲンマが動いたか?」
 まるでこの目で見ていたかのように語る防衛省長。ディランは一瞬驚愕したが、平然と話を進める。
『ええ。20年前に起きたバンクーバー大火災事件の元凶とされているニーズ・ヘッグと思われるゲンマが突如姿を現しました。データによると、現在北緯45、東経140の地点に現れたとのことです
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