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叛逆天使の英雄物語(サーガ・イストリア)
光を齎(もたら)す者
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「ったく。けど、見終わったら、怪獣が見つかる前にさっさと帰るぞ」
「わかってるよ」
 こうしてミチルたちは怪獣が身近に見れる海岸へ向かった。

                                    

 最前防衛線になってる相模(さがみ)湾の海岸沿いの砂浜に武装した多くの自衛隊が展開していて、15キロにも及ぶ長い距離に設置型迎撃ミサイル発射装置が45基以上もある。
 ピリピリした空気の中に、3つの白いテントが張られていた。中の様子はいくつもあるパイプ椅子と長いテーブルだけの意外にシンプルなスタイルで、そこに入っている人たちは、周りとは真逆のリラックス状態になっていた。
「なあ、本当に来んのかー?」
 ペットボトルに入っているジュースを飲んでいる金髪の少女が短い胴体に釣り合った脚でパイプ椅子をゆらゆらと揺らしながら、退屈そうに言う。
「そうらしいどすえ」
 彼女の質問に京都弁で答えたのは、黒くて長い髪をかんざしでまとめた、眼鏡をかけた少女だ。座わりながら本を読んでいる。
「待機命令なんて退屈なだけじゃんか。侵攻する前に、叩き潰せばいいんじゃね?」
「それはできないよ。ヒビキちゃん」
「あら、ディラン支部長」
 ディランがテントの中に入ってきた。
「だから、"ちゃん"付けは止めろって言ってるだろうがァ!!」
 どうやらヒビキは、他の人から"ちゃん"付けと言われることに対し異常なほど嫌がるようだ。
「その方がかわいいじゃないか。なあ、椿姫ちゃん」
 少女たちをナンパしているようにしか見えないディラン。だが、椿姫という名の少女は、そうとは思えない平然と言う。
「そうどすえ。その容姿なら、"ちゃん"付けされても何も問題あらへん。それにその体格なら、小学生に見えてもおかしくないどす」
 ディランは椿姫に振った。彼をフォローするかのように遊び半分で言う椿姫。それを聞いたヒビキは、頬を赤くし始める。
「あ、アタシもう子供じゃねーっつーの!!」
 どうやらヒビキは、高校生になったばかりの年齢。だが、年齢に見合わない小学生か中学生の容姿で子ども扱いされるのが大が付くほど嫌いらしい。逆に椿姫は、遊び半分でヒビキのように、からかい甲斐のある人間をおちょくることが好きなようだ。
「まあ、おしゃべりはここまでとして話を戻すけど、命令の権限は防衛省の長である高木川省長が持っている。命令も無しに勝手に動いたら、犯罪扱いされるよ」
「ちっ!」
 ヒビキは納得が行かず、舌打ちをしてより機嫌を悪くする。
「ディラン支部長」
 ディランの後ろから少女の呼ぶ声がした。ディランは振り返り、その少女の名前を言う。
「おっ、レミちゃん」
 ディランがレミと呼んだ髪の長い少女。落としたブレスレットをきっかけにミチルと電車で出会
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