光を齎(もたら)す者
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だろうか?)
『番組の途中ですが、臨時ニュースをお知らせします。太平洋上空に突如出現した謎の巨大生物が確認されたとの報告が来ました』
「謎の巨大生物?」
気になる言葉を繰り返して口にする。その他の生徒たちにも動揺の空気に飲まれていく。
『謎の巨大生物は、神奈川県から南に500キロメートル離れており、未だに危険はありませんが、今、防衛省の高木川元三郎省長が会見を開いている模様です。中継を切り替えます』
映像が切り替わった。『高木川元三郎』と書かれた立札がいかにも偉いような容姿に迫力のある面構えをした老人が多くのメディアからカメラのシャッターの発光を浴びながら、生中継しているカメラに向けて説明する。
『現在、定かではありませんが、日本に侵攻する可能性はあると思ってください。自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そして日本支部国際特殊生物迎撃機関が警戒態勢のため相模湾の砂浜において展開しているところです。万が一のため、神奈川県を中心に関東地方の民間人は直ちに避難を開始してください』
「えっ、マジで! 怪獣が出るのかよ!」
「おいおい……」
不謹慎なことを言ったのは、カズヒコだけでない。他の人も興味津々な生徒たちが山ほどいる。
そこに廊下の方からドタバタと誰かが走っている音がする。食堂に顔を出してきたのは、先生だ。
「はあ…はあ…。みんな、午後の授業は中止だ! 直ちに家に帰って、家族と一緒に避難場所に避難しなさい!」
先生が息を切らしながら、食堂や廊下にいる生徒たちに伝達をした。そのことに幸運と思わない人間はいないだろう。すぐに自分の教室に向かう者もい始めた。ミチルもカズヒコも教室に戻り、下校の準備をした後、先生に挨拶をして下校した。
「なあ、ミチル」
下校中、人が少なくなった道を歩いていると、カズヒコが小声で尋ねてきた。ミチルは「なんだ?」と尋ね返した。
「行ってみようぜ」
「どこへ?」
「怪獣が現れるところさ」
「はっ!? 何を考えてんだ!?」
下手に外に出れば、怪獣に見つかって食い殺されるに違いないと悟ったミチル。どうして外に出ようだなんて言い出したのか、カズヒコの意図が全くわからない。
「しっ! 今から俺はそっちに向かう。お前も一緒に来るか?」
「そんなこと言っている場合か! 一緒に避難場所に行くぞ!」
「そうかよ! だったら1人で行く!」
(自分がしようとすることを最後までやり遂げる頑固さが彼の長所でもあり、短所でもあることを誰よりも知っている)
親友である彼を見殺しにするわけにはいかないと思ったミチルは、カズヒコと一緒に行動することにした。
「はぁ、わかったよ……」
「やった! さすがは俺の大親友!」
決め台詞のように言い出したカズヒコ。でも、ミチル本人もどんな怪物なのか少し興味があった。
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