暁 〜小説投稿サイト〜
叛逆天使の英雄物語(サーガ・イストリア)
光を齎(もたら)す者
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て、落とすように渡した。
「ありがとう。これは私にとって大切な物なのです。これが無いと、何も守れないから……」
「えっ…?」
 ミチルは見知らぬ少女が言った後方の言葉に違和感と疑問を感じ、首を傾げた。
「あっ、いえ。なんでもありません」
《間もなく、高宮沢。高宮沢です》
 アナウンスが流れた。ミチルが降りる予定のステーションに間もなく到着するらしい。ミチルはその少女と別れ、降りる準備をした。
「じゃ、じゃあ、僕はこれで……」
 モノレールは高宮沢に到着した。自動開閉ドアが開いたと同時にモノレールを降り、階段を素早く下りた。
(さ、触ってしまった…。でも…見たところ女子高生っぽいかったけど、なんだろう…。なんかオーラが違うような……)
「…って、なんで意識してんだよ……」
 偶然に出くわした少女に気になってしまったミチル。
(早く忘れて学校へ行こう)
 しばらく歩道を歩く。学校が見え始めた頃、ミチルと同じ制服を着た生徒の数が増えていく。だが、女子が1人もいない。ということは、男子校に通っているということになる。女嫌いの彼にとっては、願ったり叶ったりの場所だ。
「おう、ミチル。おっはよう!」
 登校中に彼の後ろから陽気に挨拶する声がする。今朝ミチルに掛けてきたカズヒコだ。
 勢いよくミチルの左肩にカズヒコの右腕が当たり、右手が垂れ下がっている。
「いてっ! カズヒコ。おはよう」
「教室に着いたら、約束通り、宿題見せてくれよ」
「わかってるよ」
 2人は教室に入り、ミチルはカズヒコにやった数学の宿題である2枚のプリントを出した。
「ほら」
「いやー、ミチル様にはいつも感謝しております」
 カズヒコは待ってたかのようにすでに筆箱からシャーペンを取り出し、すぐに書き写しを始めた。
「ったく。電話で言った通り、ちゃんとジュース奢れよ」
「はいはい、分かっておりますとも」
 朝礼が始まるまで、15分くらい時間が残っている。それまでにミチルはイヤホンをしながら、携帯でテレビを見た。
『今日は高気圧に覆われて、晴れやかな天気になるでしょう』
 天気キャスターの女子アナウンサーが満面の笑みで天気情報を伝えている。
「今週は晴れの日が続くな」
 13日の月曜日である今日から1週間は、晴れマークだった。
 学校のチャイムが鳴った。ミチルは慌てて時間を見ると、朝礼が始まる5分前になっていた。
 焦りながらも時間を忘れるほど夢中になってた携帯の電源を落としてポケットに隠した。
「うーっし。朝礼をやるぞ」
 その後、体育担当の先生なのか岩肌のようなごつい体格をしたこのクラスの担当の先生がチャイムと同時にふらりと教室に現れる。
「起立! おはようございます!」
 このクラスの委員長がこの教室の担当の先生に向けて元気よく
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