光を齎(もたら)す者
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ね…!」
「く…う…!」
意識があるものの、立つことすらままならない。せいぜい地面に腹這いしながら、首を上げることが精一杯だ。
ニーズ・ヘッグは、レミを握りつぶすのか右腕を伸ばし手を付けようとしている。
カズヒコと一緒に静観していたミチルは、この情景を見て自分の中に迷いが生じていた。
(このままじゃあの女の子があの龍に殺されてしまう……)
少しずつレミに近づいていくニーズ・ヘッグ。もはや猶予が残されてない。
(僕は女嫌いの性癖を持つけど、決して死んでほしいわけじゃない。命懸けで日本を守ろうとしているあの女の子が今ピンチなんだ…。だったら…!)
ミチルの拳が血管が浮き出るほど強く握り、決意した。
ミチルはこれ以上看過できず、カズヒコを置いて1人で建物の陰から出た。
「っておい、ミチル!」
(別に特別な能力が無くなっていい。女嫌いがどうだっていい。僕はただ…人が死んでいく所を見るのは…嫌なんだ…!)
「うおおおおおおおッ!!」
ミチルはレミの前に転がっている剣を取り、ニーズ・ヘッグの右手に斬りつける。
ニーズ・ヘッグは、悲鳴の咆哮を上げながら一時後ろに下がる。
かなり奥まで入ったのか人間と同じような色の血が切口から勢いよく噴き出ている。
「な、なにが起きた!?」
「あれを」
椿姫がレミを守ったミチルを指した。それを見たヒビキは、民間人であるミチルを見て驚愕する。
「なっ、民間人!? なんでこんなところにいんだよ!?」
「さぁ。でも、ゲンマが怯んでいる今がその時じゃないどすか?」
「そ、そうだな…。行くぞ!」
「全く、おんしはまだまだ子供どすなぁ〜」
「誰が子供だー!」
椿姫の言ってたことに、ヒビキが激怒する。
「はぁ…はぁ……」
「君は…、あの時の…。これは、民間人である君には到底負えない…! 早くここから逃げるんだ…!」
「はぁ…何が"逃げる"だ…。まともに戦えないで、そんな言える立場か…!」
「けど…! ッ!!」
ニーズ・ヘッグの怒りの咆哮が周りに響き渡り、ビルの強化ガラスが次々と割れていく。
「くっ…!」
ミチルたちは、爆音並みの声の高さと大きさに耐え切れず耳を塞ぐ。すると、ニーズ・ヘッグが口から炎が溢れ出る。あの炎の纏った咆哮を放つつもりだ。
逃げるにも、怪我してしまったレミを置いていくことなんてミチルにはできない。担いで行っても時間がない。
(ここまでか…!)
諦めた瞬間、ミチルが持っていた剣が突如光り出す。
「な、なんだ!?」
「ッ!? ルシファーが…!」
ニーズ・ヘッグがお構いなしに放った火炎の咆哮は、ミチルたちに直撃した。だが、剣から発して徐々に大きくなっていく光は、炎からミチルたちを守るかのように覆っている。
「ま、まぶしーッ!」
「な
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