光を齎(もたら)す者
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。
今日の乗員客は意外と多く、席がほとんど埋め尽くされていたが、通っている学校はここから4つ目のステーションの高宮沢ステーションに近く、距離もそこまで長くはないので時間はかからない。ミチルは背中を壁に貼り付け、寛ぎながら耳にイヤホンをして、音楽を聴いて奥の窓を眺めた。
出発して3分後、1つ目の駅に着いた。そこへ更に乗る人が増えていく。
2つか3つの曲をフルで流しただけで、既に3つ目のステーションを過ぎてしまった。
(あともうちょっとで着くな…。そろそろ降りる準備をしよ…うっ!)
下から一瞬だけ何か光沢のある物に日の光が反射して、紅い光が僕の目に照射した。反射的作用で目が細くなり、下を見た。
ミチルは自分の足元に何か紅く光る物が落ちていた。しゃがみ込んで、指で摘み取る。
「ペンダント?」
アクセサリーの一種であるひし形のペンダントだ。鋼板が光と闇のように2色の合わさったように光っている。
「すみません」
「はい?」
後ろから尋ねる声にミチルは振り返った。
尋ねてきたのは、清潔で規則正しい感じの、長い髪をした見知らぬ女子高生の少女だった。
「うわっ!」
ミチルはその女子高生の綺麗さに驚いたのかバランスを崩し、尻餅を着く。
「いてて……」
「大丈夫!?」
「ア…ハイ…ダイジョー…ブ…デス……」
喋るロボットのようにカタコトに言うミチルは自分を心配してくれた少女を見ようとはしない。
不幸にも女子に遭ってしまった…。なんて最悪だ…。どんよりするミチル。どうやら女子に対して苦手意識があるようだ。
「立てる?」
その少女はミチルに手を差し伸ばし、手助けをする。
(うっ……)
ミチルは見知らぬ少女からの手助けはなるべく使いたくないと意地を張って立ち上がることを試みた。
「…1人で立て…うわっ!」
モノレールが移動しているからか、足腰に力が入らずうまく立ち上がれない。天井付近にある荷物置き場を支えるポールとか何かをつかまろうとしたが、位置的にも遠かった。ミチルはため息を吐く。不本意だが、ここは彼女に手を差し出すしかないと悟った。やむを得ず見知らぬ少女に手を差し出し、助け舟を出した。
「すみません……」
少女は差し出したミチルの手をしっかりと握って引く。おかげでミチルはなんとか立ち上がることができた。
「あ、ありがとうございます……」
「ごめんなさい。びっくりさせたわね」
(本当にびっくりした…。まさかコレの持ち主が女の子だったとは…。今日は運が無いな……)
「大丈夫です。あ、そうそう。このペンダント、あなたのですか?」
ミチルが手にしたペンダントを掌に乗せてその少女に見せた。
「君が持ってたの?」
「偶然にも、自分の足元に落ちてたんです。お返しします」
拳を上にし
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