第八十三話
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いないと俺という存在は防御力を無視で創りだされた、スピード特化・防御力無視の張りぼての戦士といえる。少しでも攻撃が当たったらそれまでだ。
厄介な状況。いや、そんな生易しい言葉で言い表せるようなレベルの状況じゃない!
逆に漆多は常軌を逸し、科学的・生物学的な法則性を全て無視した【過変態(hypermetamorphosis)】となっているから、その体は生物の「種」としての個体固有の限界値を遥かに超えて強化されているに違いない。だから、あのゼロヨンレースとかで使う【ニトロパワー】のようなチート的能力値の底上げにも楽々耐えることができるんだろう。
俺にはそんな頑丈な体なんて無い。漆多と同じ速度でやり合うなんて、体が持ちこたえられるはずがない。そして、壊れた体はすぐには治らない。そんな状況。
まだある。
やっぱり問題は、ここが漆多の結界内ということだ。
奴の能力だけは強化され、こちらの能力はスポイルされているという超不平等な世界なんだ。
限界値同士でやりあった場合、俺の能力が奴の力を下回る可能性が高い。あの、物理法則なんて遥か彼方に置き去りにしたような加速度はありえない。俺が100パーセントの力を搾り出したとしても、この結界の俺に対する負の影響力をモロに受けてしまうことで俺の能力が低減されてしまうんだ。
さて、何パーセントの減額となるか。
そして、あることを思いついてしまい、思わず笑ってしまいそうになる。
もちろん、楽しくて笑ってしまうんじゃない。直面した現実に呆れてしまった笑いなんだ。
少し考えれば分かること。……これまでの戦いの中で繰り出した漆多の加速度は、限界速度じゃないってことを。
これまでのアイツの動きは、どうやら今のは単なるデモンストレーションでしかなさそうだ。
俺が回避できたことに何のショックも受けていないようだ。何で当たらなかったんだろう? って頭をかしげたりもしているけど、実に余裕を持っている。
速度を考慮し、アイツは残り2つを同時使用するつもりらしい、ぞ。
何か言葉を話すが、今の顔のカタチに馴染んでないために上手く喋られないようだ。それに気づいたアイツは、右手で背中のドーム状のコブを指差した後、こちらに長く伸びた人差し指と中指を突き出した。
二つ使うよ、今度は。
そう言いたいらしい。
能力の底上げは1+1は2のような単純計算ではない。1+1が3にも4にもなり得るパワーアップなんだ。
一つのコブに入った心臓を使うだけであの加速度。
二つを同時使用した場合はどうなるのか? ……その先は考えたくなかった。
アイツは次で決めるつもりらしい。
俺には、猶予はないみたい。
まともにやり合えば勝算は乏しい。限界速
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