第八十二話
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、遮蔽物を求めて逃げ場を探す。そして背後の視界にコンクリート柱が密集したエリアを見つけたんだ。
能力【Three times】を連続保持したまま、俺は風切り音を感じながら飛んでくる石を回避しつつ、そのコンクリート柱の森を目指し駆ける。
顔のすぐ傍をブォンと不気味な音を立て何度も石が飛んでいく。地面に当たり弾ける音を聞く。
走った時間はほんの僅かだったかもしれない。だけど、体感時間はかなり永く感じられた。
前方にコンクリート柱が見えると、転がるようにして柱の影に飛び込み、俺は柱の陰から漆多のいる後方を見た。
漆多もこちらを目指して走りながら、指弾を撃ってくる。飛んできた石が柱に辺り甲高い音を立ててはじけ飛んでいく。
しかし、この場所ならあの攻撃も柱に阻まれて使えない。あとは漆多がここに足を踏み入れてからが勝負だな。……と思って奴を見て驚愕する。
なんと、奴は指弾による攻撃を諦め、今度は真っ二つに割れた柱の一つを両手で持ち上げ、大きく振りかぶっていたんだ。
こっちに向けて唸り声を上げて巨大な石柱を放り投げた。
なんて馬鹿力なんだよ!!
放たれた巨大な柱は、相当な速度で放物線を描きながら飛んでくる。抜群のコントロールで俺へと落ちてくる。
この攻撃は、速度は指弾と比べれば明らかに遅いが破壊力が半端ではない。何トンも有るであろうコンクリートの塊の落下だ。直撃を受けたらひとたまりも無い。
咄嗟に回避する俺。
落下予想点から余裕をもって回避しようと駆け出し、柱と柱の間を通り抜けようとする。
刹那、視界の隅に何か銀色に光るものを見た。
いや、正確には感じたんだ。
それはただの気のせいだったかもしれないけど、直感的に危険を感じた俺は即座に全力を用いて止まろうとした。
通常の三倍速で移動していたこと、砂利と礫のため滑りやすい地面のためブレーキの利きが悪かったけど、なんとか寸前でとどまることができた。
同時に、左腕に痛みが走る。
それは何かに触れたような冷たい、そしてチクリとした感触。
俺は左腕をみた。
「痛っ――! 」
少し遅れて痛みが来る。
なんてこどだ。ブルゾンの袖が肘のあたりまでザックリと切断されていた。中に着ているシャツも同様だ。
当然、俺の腕だって手首の辺りから肘にかけて皮膚が割け、ピンク色の肉がむき出しになっていた。そして驚くばかりの大量の出血。静脈をスパッとやられているかもしれない。
傷の深さは深いところで2センチ以上……。
痛みと吐き気をこらえながらブルゾンを脱ぎ、強引に左腕に巻き付けて強く縛る。
出血を止めないと!
こんな素人療法で出血が抑えられるかどうかは分からないけど、やらないよりはましだ。
体
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