第八十話
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ていたのに気付くことさえできずにな。まあ気付いても意味が無かったか? あいつはお前に助けを求めていたんだろうからな。そして俺はお前への嫉妬に狂い、そこにつけ込まれ化け物に取り付かれ、このままとり殺されるだけしかないんだろう? そんなのあんまりだろう? 俺だけまったく駄目じゃないか。好きな女を親友に取られ、おまけに化け物に女を殺され、最後はその化け物に取り込まれるんだからな。何なんだよ、俺の人生って。なんでお前だけが寧々に惚れられ、その化け物みたいな力を得て、今度はヒーロー気取りで化け物退治かよぅ!! 糞っ、何でお前ばっかりいい目を見ているんだよ。くそったれくそったれくそったれ! なんで、なんで俺だけがこんな貧乏くじばっかり引かされるんだよ。こんなのありえねーだろ? なあ」
それはあまりに理不尽な怒りだった。だけど、その気持ちは理解できた。
「はぁはぁはぁ……」
感情をぶちまけきったのか、漆多は息を荒くしながらもその昂ぶった感情を抑えきったようだ。そしてゆっくりと俺を見る。その眼には先ほどまでの人間としての様々な負の感情み満ちあふれたものが一切消えていた。
「……最初から覚悟の問題だったんだよな。死線を幾度も乗り越えてきたお前とまともに戦うには本気の覚悟が必要なんだ。覚悟しない人間には勝利がないということだよな。何かを捨てなければ、否、全てを差し出さなければお前と同じスタートラインにすら立てないってことだな」
そして彼は身構えた。ごく自然な形で。そしてごくごく自然に微笑んだ。
同時にこれまでとは全く異質な気が発動する。
「あわよくば人間のままお前を倒し、人間としてなんとか世界に戻りたかったけど、それは虫がよすぎるってことだな……。いくぜぇ」
唸る!!
理解し合うことのできない戦いが始まる。
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