第七十九話
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うな口調で問いかける。
「放棄なんてしてないさ」
あいつの妙に自信たっぷりの態度に少しの不安を感じる。何か策を持っているんだろう。
「お前、知らなかったのか? ……ッククククックク」
肩を揺すりながらくぐもった笑い。
「違和感くらいは感じているだろう? お前はあのガキの重要性を聞いていなかったのか? 特に戦うときにおいての【ガキの有意性】を。……フフフ、まったく昔からお前は変わらないな」
「どうだっていうんだ」
そう言いながらも、少しは思い当たるところがあったんだ。
これまでの戦いでは常に感じていたものが全く感じられない事に。それが何なのかはよく分からない。王女が側にいないだけで何か違和感を感じてしまっているのは事実だったんだけれども。
「仕方ないから、戦う前に教えてやろう。教えないほうが俺にとっては有利なんだけどな。まあ、お前には何度か助けてもらっているからなあ。これくらいはいいだろう」
そう言って右手を握ったり開いたりする。
その手の爪が異常に伸びていることに俺は気付く。その爪の長さは10センチくらいの長さがあるんじゃないだろうか。おそらく、その硬度は鋼鉄を上回るんだろうな。
アレで先生たちを殺し、心臓を抉り出したんだ。
「あのガキからの魔力供給によってお前の力が増強されていたことくらい、少しは思い当たるだろう? これまでお前は何度も死にかけになるくらいの怪我をしていたが、異常なほどの速度で回復もしただろう。あれは何だったと思うんだ? お前の潜在能力とでもいうのか? 」
流石にそうではないだろうな、とは思っていた。
「全て、あのガキが魔力を使って、お前の傷を修復してたんだよ。だからお前は異常な回復力で立ち上がり、戦うことができたんだ。だが、残念ながら今はガキがいない。この世界の中にいない。よって、俺の結界によってガキとお前を結ぶ魔術経路も途絶えてるんだ。つまり、お前が怪我をしても誰もお前を回復してやることは出来ないってことだ。お前の自前の回復力に頼るしかないって事だよ。……だから戦うときは怪我に注意しろよ。まあ、とりあえずの忠告ってわけだ」
なるほど、俺が化け物的回復力を得たのでは無くて、王女の力で回復してただけなのか。まあ当たり前と言えば当たり前なんだけど、今までほとんど気にもしたことがなかった。それが当たり前だって思っていたからね。
「ショックだったかな? まあ、ガキを連れてこない選択をしたお前のミスだから仕方ないぜ。だから俺は手加減なんかしない。本気でお前を殺しにいくよ」
そういって身構える。
俺も構える。
「漆多、残念だけどそういった事を知ったとしても、何も変わらないよ。忠告には感謝する。だけど、俺は負けない」
「クカカ、流石に何度も戦ってきて
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