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大刃少女と禍風の槍
十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
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「【ソードスキル】は便利っちゃあ便利だがね、半自動的に身体を動かす性質上『元々覚えている型からは外れる』のよ。技後硬直(ポストモーション)もあるし……ダメージ無くともスピードを確保できるんなら自分で打った方が速ぇわな」
「ニャハハハ、言われてみればそうだナ。当たり前のことほど咄嗟には思いつかないもんダネ」


 その後も罅をもう入れた事に驚いたり感心したり、アルゴの(もたら)す豆知識にお互いニヒルにニヤッと笑いながら、タメになる事まじえて会話を交わす。


「ぬぅおわああぁぁぁあああぁぁ!?」

「お、どうやら墨塗られたみたいやね」
「アンタはそれほど変わってないけどナー。はてさてキー坊はどうなっているのヤラ」


 アルゴが実に嫌らしい笑みを浮かべて言い終えたのと同時、キリトが言葉にならない叫び声をあげながら、岩の影よりグザ達の元へ駆け寄ってくる。

 二人共々彼の顔を見て一瞬 “ピクッ” と肩を震わせるが、グザは煙を吐き出しながら何時ものヘラヘラ顔に戻り、アルゴはフードを深く被って若干下を向いた。


「あ、アルゴ!? あの老人素手で岩を割れとか言って来たんだが!?」


 ……どうやらグザが素手で岩を割ろうとしていた事を、物好きで無謀な記録に挑戦していると判断していたらしく、キリトの声には隠せそうにもない悲痛な物が混じっている。


「そりゃあ【体術】だからナー。武器使っちゃったら話にならないヨ」
「で、でもグザの奴は簡単にやってたし、本当はそこそこいける硬さなんじゃ―――」
「ざんねんしょーう、グザの奴が簡単そうにやってるだけサ……つまりその岩、《鬼》ダヨ?」


 言われてからキリトは確かめるべくか、希望の含まれた表情で拳を思い切り岩に叩きつけ―――SAOのシステム仕様上、対して痛みなど走らない筈なのに、思わずと言った感じで目を見開き歯を食いしばる。
 表情は既に、一気に絶望へ染まっていた。
 その絶望感漂う硬度たるや、顔を緩慢な動作で傾けてグザの方を「信じられない……!?」と言いたげな顔で見る程らしかった。

 グザは彼の表情を見た瞬間にニヤ〜ッと笑む。
 そこから、ワンツーパンチからジャンピングバックキック、勢いに乗せてハイキックを打ち込んで見せる。
 ……何処からどう見たって岩が柔らかいか、簡単にやれる対象であるようにしか見えない。

 最後にグザの岩をキリトが叩いてみて何も変わらない事を再確認し―――顔が唖然5割と怒り2割り、『理不尽ここに極まる』と言わんばかりの色3割に染まる。
 が……しかし其処で何か別の事を思い出して、アルゴに詰め寄った。


「さっき教えて貰うの止めた “オヒゲの理由” ってまさか……!?」
「その通りだキー坊。オイラもベータ
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