十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ばかりに繰り出されるは、相手を穿ち、捩じり込むような前蹴りだった。
「ッ……キヒヒハアァァァ!!!」
だが、攻撃はまだ終わりを見せなかった。
ジャンプを使って岩へと接近し、膝と肘を同時に打ち込んで追加に肘で殴り上げ、肘鉄から右ストレートをお見舞い。
掌底を行いながら距離を調節して……ニヤッと笑い、サマーソルトキックから逆立ち。
両手で体を支える。
腕力で身体を回しつつ繰り出される連続蹴りは宛らブレイクダンスの様で、着く手を変えながら腰ごと脚を回す “トーマスフレア” から、逆立ちしつつ脚を広げて派手にスピンする “エアートラックス” に続け、またトーマスフレアに戻して滅多矢鱈と打ち据えまくった。
「リイィィィィイイィ―――ッアアァァアアア!!」
最後に殺せなかった勢いを、身体を九十度傾けつつ開脚したまま回転する “ウィンドミル” での連撃を加えて粗方落とし―――――腕力で跳躍して右足で思いっきり一撃を叩き込む。
インパクトの瞬間にまたも空気がビリビリ震え、グザ自身も後方へと飛び、少々乱暴に着地した。
「ん〜……お、罅入っとるねぇ……こりゃイケそうだわな」
この間、僅か “二十秒弱” 。
一見滅茶苦茶に見えるグザの体術だが、全て岩の尤も脆い部分を捉えており、手慣れた動作で速さもかなりのモノだった為か、岩へはもう既に小さいが罅が入っている。
先の謎の軽い乱打は、どうも岩の弱所を調べるためのモノだったようだ。
―――が、今行われた大暴れはどうも興が乗ったからやっただけらしく、やり過ぎたかと頭を掻いている。
誰にも見られてはいなかったのだ……其処だけは幸いと言えるだろう。
「―――? …………!? ??」
「ア、アガガ……アガ、アガガガ……!?」
訂正。
“二名” には見られていた。
疑問符を浮かべて立ち竦む片方は、ニ時間程前に分かれたばかりの片手剣士キリト。
大口を開けている砂色フードのもう片方は、今一番頼れる情報屋と名高い『鼠』のアルゴ。
グザの大暴れを見てしまった彼等は表情も態度にも驚愕を隠そうとせず、そして何を言えばいいのかどうしたらいいのか判別が付かないか、その場から動こうともしない。
ゲーム的観点から言って……別にグザが常人離れした動きをしていようが、その点に関して言えば別におかしくなどない。
ステータス数値が上昇すればするほど補正が掛るのがこの世界なのだし、必殺技足る『ソードスキル』もある。
即ち、誰でも神速や剛力を持ち得る事が出来る世界なのだから。
が―――プレイヤーの補正の抜いた “技術面での動作” に関しては話が別
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ