十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
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ぇ……)
それ以上何もいわなくなった老人NPCに、グザは苦笑い顔で内心文句を言いながらも、首を一回ゴキリと回し鳴らして三度辺りを見回し、そうして見付けた適当な大きめの岩に近寄った。
まず手の甲で二度叩いてみれば、確かにかなり硬いが《破壊不能オブジェクト》よりはマシだと言える硬度だ。
元より素手で叩き割る事が目的のクエストなのだし、余りに理不尽すぎる選択はそも寄越さないだろう。
「ふーむ」
其処からグザは構えを取り、勢いよく殴り付け―――る事をせず、何故か岩を軽く打ち始める。
当てる箇所を規則正しく少しづつずらしながら、時に飛び上がり、時に屈み込み、しつこく岩を何度も殴打する。
そんな作業を延々繰り返し、もし第三者が見ていたのならばいい加減文句が飛ぶであろう頃。
漸くその無駄に手数が多く、時にアクロバティックな攻撃をピタリと止めて、グザは顎に手を当てつつ思案し始めた。
「そんじゃあ……始めるかい」
きっかり十秒経った後。
有名な像である“考える人”にも似たポーズを、緩慢な動作で解いて行く。
そして両手をだらりと下げ、直立姿勢には程遠い猫背で立ち、爪先立ちをしたり止めたりを繰り返す―――
「ヒヒハハハハハハァァァァアアアァァッッ!!!」
―――それが幻だったのだと言わんばかりに、グザは派手に奇声を上げつつ暴れ始めた。
グリーブ状の防具を付けている事を利用し、まずはフロントキック2連発打ってすぐに引き戻し、一瞬の溜めから重い蹴撃を放つ。
間髪置かずに、右回し蹴りからソバットを繋げる素早い二連撃。
そのまま飛び上がると縦一回転してネリチャギで岩を打ち据え、脚を大きく開いて座り込む。
身体を曲げて地面に手を付きコマの如くスピンしつつ、脚を打ち込みながら立ち上がる。
更に、すぐさま下からローキックが跳ねあがって……と、視認する間もなく小刻みな上下中段のトリプルキックが炸裂した。
「ッハアァァアアァアアァァァツ!!」
叫びつつ何時の間にか引き戻されていた脚を再度突き出し、それが命中するや否やもう一つの足でも蹴り、岩をジャンプ台代わりに後方へ跳び退さってから―――地を蹴り突撃。
ドラゴンキックばりの飛び蹴りと大岩がぶつかった瞬間、放たれたその威力からか仮想空間の空気すら震え、着地と同時に繰り出される肘打ちがまたも強烈な音を立てた。
―――グザは止まらない。
前に押し出す様な裏拳、打ち下ろす手の甲、鋭さを持つアッパーカットの三連撃から、威力重視のバックハンドブロー。
続く左蹴りは振り切られずに止まり、踵で強かに岩を蹴り付ける。
トドメと
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