十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
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えども……というより、現実でも闘牛は危険なので充分身構えるに値する的だろう。
当然ながらグザもまた、何時ものヘラヘラ笑いを絶やしこそしないだけで、槍の穂先を牛型モンスター【トレンブリング・オックス】へと向け、握りを緩くしキッチリ構えている。
「モ゛ォォォオオォ!!」
【オックス】は暫くフルルと鼻を鳴らしていたが―――――唐突に蹄で素早く地を?いたかと思うと、正に牛と言える二度湾曲した角を傾け、グザへ突き刺さんと荒々しく突進してきた。
巨体に似合わぬ速度を叩きだし迫りくる姿は普通に恐ろしいが、ゲームだという事に慣れてしまえばプレイヤーのもの。
それどころかグザは真正面から突っ込んでいき、余裕綽々で飛び越して行く。
何の意味があるのか、無駄にバク宙三回転まで決めていた。
「シィィイッ!!」
息を鋭く吐き出しながら槍特有のリーチの長さを活かし、【オックス】の振り向き様に安全圏から刺突を喰らわせ、深追いはせずもう少し距離を取った。
そのまま再び【オックス】の突進を待ち(無駄な)宙返り捻りを決めつつ、飛び越しからのスラストを繰り返し、確実にHPを削っていく。
変化の見られない戦闘に動きがあったたのは、【オックス】のHPがレッドゾーンへ差し掛かった時だった。
「シュフルルゥ……ッ!」
何度目かも分からない突撃でお互いに距離を縮め、いざ飛び越すタイミングに入ったその瞬間―――流石にAIもパターンを学習してしまったのか、【オックス】がいきなり速度を落としてタイミングを外してきたのだ。
攻撃判定を持ったままの【オックス】へ、調子に乗って跳び上がるグザが空中から突っ込む形に―――――
「ヒヒハハハ……フェイントのつもりかい、それ?」
―――――否、グザは【オックスの】目の前で槍を構えている。
跳びあがってなどいない、ましてや地から一ミリも浮いてはいない。
【オックス】がタイミングをズラした様にグザもまた速度を調節し、オックスのタイミング外しを “外して” きたのだ。
結果、攻撃判定へと突っ込んでいくのは【オックス】の方となり……一際力の籠った刺突で額が穿たれる。
「……――――!」
悲鳴も上げられず、【オックス】はポリゴン破片となり、己の身を四散させて中空へ消えて行った。
「そういや、下層に牛はいなかったわな……となるとあの雄牛は、此処はここが初登場なのかね」
如何でも良い事を呟いた後、獲得経験値や獲得アイテムにコルを示すメッセージに然程興味を示さず、再び小高い山林地帯を目指して歩みを進めて行く。
ボス戦後に起きる湧出変動の影響がまだ残っているからか、モンスターMobの
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