十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
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頷いていた。
何より彼女達よりも技量が数段上の人物だ。
キリトの様な理由もないのに一人が良い等と言う事からするに……精神の作りも少しばかり違うのかもしれない。
「まぁ、何か言われたらテケトーに言い訳しといてくれや。キリトの坊主相手に、競争心を刺激された〜とかな。坊主も “ついてくるなら気を付けろ” としか言って無かったさね」
「ハハハ! 何とも子供染みた理由だな! ………………気を付けろよ?」
「大丈夫、重々わーってるのよ。お前さん等こそ、迷宮帰り道中倒れんようにな」
「当然よ。ここで消えたら頑張った意味が無いから」
ある程度簡単な言葉を交わして背を向け、アスナ及びエギルのパーティーは迷宮区のボス部屋入口へ、グザは第二層につながる階段へ、それぞれ歩きだして行く。
もう一度アスナが振り返った時には―――もうグザの姿は、扉の向こうに消えていた。
「さーて、こっから如何動こうかねぇ……?」
眼下に広がる大小数多に存在するテーブルマウンテンを見やり、グザはパイプを吸いつつ一人、そんな事を誰に言うでもなく呟いていた。
夕日により黄金色に染まる草原は何とも幻想的だが、グザはそんな物など全く見ていない。
―――否、正確に言うなら “見て” はいるのだが、如何も興味自体は持っていない様子だ。
一番遠くに見える迷宮区に時折視線を傾けながら、テーブルマウンテンに小高い丘や森を一つ一つゆっくり眺めていく。
……その顔は相変わらずに焼けたままで固定されており、のんびりと見回す行為に含まれているであろう真意までは窺えない。
「ふぅ〜…………うーむ……」
若干おふざけが混じる思案顔で顎を撫でた後、首を一度まわして大きく息を吐いた。
「そんじゃあ、アソコにするかい」
小さく呟き、歩き出したグザの向かう先は、立ち並ぶテーブルマウンテンの中でも特に大きい中央―――ではなく、テーブルマウンテンだらけだからこそ寧ろ目立つ、右方にある小高い普通の山林地帯。
何か目的があるというよりは、単純に興味から決めた様な緊張感の無い顔で舌なめずりし、山林を目指して始めた。
そうして少しの間、肩に槍を担いで口笛を吹き、呑気に歩いていた……そんな彼の口笛をとある存在が一瞬にして止める。
「ブルルルゥゥゥ……!」
「……牛かいや」
街道を外れ歩き始めてから五分と経たず、牛の様な―――と言うよりも最早牛 “そのもの” のモンスターが草をかき分けて出現する。
グザが何の誇張も比喩も無く、余りにそのまんまな呼び方をしたのも、ある意味当然と言えた。
しかしながら幾ら牛と言
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