十二節・寄り道から出会う “体術” 使い
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キリトの背中を見送る前に扉の向こうへ走り、アスナやエギルと階段を舞台にした鬼ごっこを繰り広げた後、グザは人の少なくなったボスフロアに戻ってきていた。
「……本当に売りませんよね? エギルさん、グザさん」
「だ、大丈夫だって。これからの攻略に支障が出たり、恨まれたりしたらコッチも困るからな」
苦笑いで告げるエギルの顔を見て嘘は無いと感じたからか、アスナは次にグザの方を若干眉をしかめた表情で振り向く。
何せアスナからすれば、彼が一番油断ならない。
常にヘラヘラと笑っており掴み所が無く、飄々とした雰囲気と以外にも達者な口を持つ所為で、本心が容易につかめないからだ。
「グザさん、貴方も分かってますよね?」
「ヒヒハハハ……別に密会していた所をリークされたからと言ってなぁ、妙な事してた訳じゃあるまいし、恥じるモンでもねーだろう? それともキリトの坊主へ、何か特別な感情でも抱いて足りすんのかい? 嬢ちゃん」
「何言ってるんですか。あの人とどんな関係なのか……同じパーティーだった貴方が、一番良く分かっているでしょう?」
言葉こそ幾分か冷静に告げられたが、SAO特有のオーバーな感情表現の所為で、こめかみや眉毛がピクピク動くのは抑えられなかった。
その証拠にグザの笑みが、より一層意地の悪い “ニヤ〜ッ” としたモノに変わったのだから。
エギルは少しばかりハラハラした物を滲ませながら、しかし苦笑自体は止めずに成り行きを見守っている。
「……ま、安心しろや。今回の事は流石に言えねーよ。言った所で【鼠】の嬢ちゃんがバラ撒くとも思えんしねぇ……折角一時収まったのに、また変な風に蒸し返されそうだわな」
「だから教えないで下さいと言ったんですよ」
「嘘さね。仮に本当でも、どうせ恥ずかしいとかが大部分占めてて―――おっとぉ」
グザが余りに理不尽に断じ過ぎ、アスナは我慢がきかなくなったか細剣スキル【リニアー】もかくやの鉄拳を、敏捷値任せにコレでもかと繰り出しまくった。
……プレイヤースキルでは天と地の差がある為に、フェイントまで交えた本格的な拳撃も、全てニヤニヤ笑いのままに回避されてしまったが……。
尤も、アスナとてそれは充分に分かっているので、必要以上にムキになる前に拳打の押収を止めていた。
一通りのやり取りを未だ傍から眺めていたエギルは、収まったのを確認してから二人に近寄った。
「それで、御二人さん。これからどうするんだ?」
「私は一旦街に戻ります。休憩も補給もしたいですし……」
「オレちゃんはこのまま昇ってくわな。一人の方が動きやすくてねぇ」
グザがそう言うのはアスナもエギルも半分予想出来ていたか、さして驚く事も無く
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