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大刃少女と禍風の槍
十一節・ほんの僅かな暗雲
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「……終わった、のか……?」


 夢現の中の如く、キリトがぼんやりとした口調で呟く。

 まだ何かあるのではないか? ベータテストとの違いが目の前に現れるのではないか? 
 その思いが彼の頭の中を支配して、掲げた剣すら満足に降ろせていない。


 皆、半信半疑なその思いは同じの様で……歓声など何処からも上がらない。


 G隊とE隊は立ち尽くしたまま視線が一点で固定され、空中に浮かぶ《コングラチュレーション》の文字を茫然と眺めている。

 C隊とD隊及びA隊は片膝立ちの姿勢のプレイヤーが多く、その回復姿勢を取ったまま、動こうともせずに固まっている。

 F隊とB隊は疲労困憊なのか床に座り込み、再び脅威が現れるのではないかと恐れ、首だけで辺りを頻りに見回している。


 永遠にも思える沈黙の中―――コツン、と小さくキリトの頭が叩かれた。
 本当に軽い動作なのだが、そのくせイヤに良く響く音がし、鬼気迫る表情だったキリトの顔が、いっそ噴き出してしまいそうなほど間抜けにゆるむ。

 振り向いた先には……何時の間に拾ったのか槍を肩に担ぎ、パイプを吸いながらニヤニヤと笑うグザが居た。
 と、彼に本格的に反応するその前に、キリトの片手にも白い手が触れ……その手の主、アスナが彼の剣をそっと降ろさせる。


「お疲れ様」


 まるでその言葉を待っていたかのように、プレイヤー全員の視界に現れる獲得経験値、獲得アイテム、そして獲得コルの記されるメッセージ。


 此処で漸く―――――漸く、数十人の歓声が一気に上がり、爆発した化の様な声が部屋中に轟いた。


 ある者は歯を食い縛り両拳を天井へ向けて目一杯突き出し、ある者は規則性もない滅茶苦茶な躍りを披露し始め、ある者等は肩を組んで笑いあい、ある者達は泣きそうな表情で抱き合い……ある者は天を仰いで雄叫びをあげている。

 唐突に来襲した嵐の如く一気に膨れ上がる喜びと叫び声に、キリトは一人取り残された様な感触を抱きながら、剣を握ったままに茫然と立ち尽くす。


「あいつ等……やり切りおった……」


 あの混乱の中――――皮肉にも、ある意味一番冷静で居たキバオウもまた、喜びと驚愕の入り混じる表情で、棒立ちのキリトを眺めていた。


「お疲れさん」
「うおっ!?」


 と、未だに何も出来ないキリトへ近付き、三人分ある影の内一人が、声色に似合わぬ勢のよさで背中を叩く。

 内二人はパーティーメンバーであった、アスナとグザ。……しかし若干遠い為、背を打ったのは当然彼らではない。

 労い始めとキリトの背中を叩いたらしきもう一人は、B隊リーダーを務めた男性、エギルであった。


「見事な指揮、何より見事な剣技だっ
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