十一節・ほんの僅かな暗雲
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は知っていたじゃないか? なんでベータと異なると言われた時に、教えてくれなかったんだ?」
この、少し聞いただけでは矛盾しかない様な言葉に反論したのは……やはりアスナだった。
「貴方がさっき言ってたじゃない! 知らなかったから、そも教えようがなかったって!」
「そうだよな……けどさ、刀を抜いた時点でもっと早く教える事は出来ただろう? ……緊急事態や、予想外の事態なら、隊列がどうの言ってられないしな」
「……それは……」
「それにコレは此処だけの問題じゃあ無い……もっと早くもっと前から、ベータ上がり達が情報を教えていたら、今日の悲劇は防げたはずだぞ? 何で攻略し始めて一ヶ月も過ぎてから、漸く本なんか出したんだ?」
謎の声の言う事は尤もで……ベータとの違いがあるのなら強引にでも教えるべきであり、更に第一層で死んでいった者達を減らす事が出来ていれば、今日の事件を物量で防げたかもしれない。
何よりビギナー達へ己の持つ情報を伝えるのが、余りにも『遅すぎる』事が説明できない所為で、再び不信感を募らせてしまっている。
「ベータテスター達のその殆どが、“始まりの街” から早々に出てスタートダッシュを掛けたらしいじゃないか。しかもベータとの違いを確認するかと思いきや、過信しての自滅や自分達ばかりアドバンテージを溜めこんでいるだけで…………誤差の確認や情報の処理なんてしてなかった」
「……!」
「もっと早く、もっと詳しく……圧倒的な知識というアドバンテージがあいつ等には合ったのに、それを溜めこむばかりで、俺達ビギナーにはまるで頓着しやしない。もう少し踏み込んだ情報さえあれば、ディアベルさんが死なずに済んだかもしれないのに」
「……だから! ボスが刀を使うなんて分からないから教えようがないって……!」
「でも、ベータとの違いが有るかもって教える際に、曲刀に似てるスキルだとか同スキルの拡張版とか、色々言えた筈だろ? なのに、何故かずっと黙ってるなんて、やっぱりベータ共は……」
キリトやアルゴの様な仮にも攻略に貢献した一個人ではなく……ベータテスターという多数の、他者の視点からも語られている為に、恐らくこうだろうと値を付けて発言しても、すぐに反撃を喰らってしまう。
アスナは行き詰り、その目は助けを求めるかのように、自然とグザの顔へ向く。
されど……伏せられた表情はそのままで、やはり其処からは何も読み取れず、口を閉じたまま一言も発さない。
「細剣使い? アンタ随分とベータ共の肩を持つじゃあないか? なぁ……若しかしてアンタもグルなのか?」
万事休すか―――――。
「クククッ……………!」
と……唐突に聞こえる、無理矢理堪えるている様な、奇妙な笑
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