暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
十一節・ほんの僅かな暗雲
[6/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は知っていたじゃないか? なんでベータと異なると言われた時に、教えてくれなかったんだ?」


 この、少し聞いただけでは矛盾しかない様な言葉に反論したのは……やはりアスナだった。


「貴方がさっき言ってたじゃない! 知らなかったから、そも教えようがなかったって!」
「そうだよな……けどさ、刀を抜いた時点でもっと早く教える事は出来ただろう? ……緊急事態や、予想外の事態なら、隊列がどうの言ってられないしな」
「……それは……」
「それにコレは此処だけの問題じゃあ無い……もっと早くもっと前から、ベータ上がり達が情報を教えていたら、今日の悲劇は防げたはずだぞ? 何で攻略し始めて一ヶ月も過ぎてから、漸く本なんか出したんだ?」


 謎の声の言う事は尤もで……ベータとの違いがあるのなら強引にでも教えるべきであり、更に第一層で死んでいった者達を減らす事が出来ていれば、今日の事件を物量で防げたかもしれない。

 何よりビギナー達へ己の持つ情報を伝えるのが、余りにも『遅すぎる』事が説明できない所為で、再び不信感を募らせてしまっている。


「ベータテスター達のその殆どが、“始まりの街” から早々に出てスタートダッシュを掛けたらしいじゃないか。しかもベータとの違いを確認するかと思いきや、過信しての自滅や自分達ばかりアドバンテージを溜めこんでいるだけで…………誤差の確認や情報の処理なんてしてなかった」
「……!」
「もっと早く、もっと詳しく……圧倒的な知識というアドバンテージがあいつ等には合ったのに、それを溜めこむばかりで、俺達ビギナーにはまるで頓着しやしない。もう少し踏み込んだ情報さえあれば、ディアベルさんが死なずに済んだかもしれないのに」
「……だから! ボスが刀を使うなんて分からないから教えようがないって……!」
「でも、ベータとの違いが有るかもって教える際に、曲刀に似てるスキルだとか同スキルの拡張版とか、色々言えた筈だろ? なのに、何故かずっと黙ってるなんて、やっぱりベータ共は……」


 キリトやアルゴの様な仮にも攻略に貢献した一個人ではなく……ベータテスターという多数の、他者の視点からも語られている為に、恐らくこうだろうと値を付けて発言しても、すぐに反撃を喰らってしまう。

 アスナは行き詰り、その目は助けを求めるかのように、自然とグザの顔へ向く。
 されど……伏せられた表情はそのままで、やはり其処からは何も読み取れず、口を閉じたまま一言も発さない。


「細剣使い? アンタ随分とベータ共の肩を持つじゃあないか? なぁ……若しかしてアンタもグルなのか?」


 万事休すか―――――。




「クククッ……………!」



 と……唐突に聞こえる、無理矢理堪えるている様な、奇妙な笑
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ