十一節・ほんの僅かな暗雲
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オマケに今彼等の居るここは超序盤で……騙した所で返ってくるのは金だけだ。
後は自分の情報を買わなくなったり目の敵にされたりと、『鼠』のアルゴは協力して尚、損ばかり。
ポッと出の新人に取られたくないから……等とそんな理由は最早理由になっていないし、たった一人の僅かな期間の旨味の為に自分の地位を貶める事が出来るのかと考えれば――――否、考えるまでもなく『断る』だろう。
損害しか生まないのなら、尚更に当たり前のことだ。
ディアベルに恨みがあったのだと無理やり仮定しても……それならそれで、何故ここまで目立つ真似をしたのか、やっぱり疑問が生じてやまない。
……しかし、不審に思う者は…………余りにも少ない。
皆、大なり小なりディアベルの死にショックを受け、尚且つキリト達ベータテスターへの不信感が強まっている中でのこの先導文句だ。
他者を疑うよう単語を交え、巧妙に声色を変えつつ発せられる―――その言葉に騙されている。
その、余りに理不尽な状況と物言いに耐えられなくなったか、アスナの中で抑えようもない怒りが膨れ上がった。
何故、キリトとたった数日組んだの彼女が、態々目立ってまで口を出したのか? ……それはキリト彼以外のベータテスターとの接触にある。
アスナもまた情報屋の『鼠』アルゴと面識があり、情報を得ていた事があった。
その頃のアスナはベータテスターへの不信や敵愾心など到底知る由もなく、アルゴから最後に掛けられた心配するような言葉と、
「ベータの情報に頼り過ぎちゃだめだヨ。しっぺ返しを絶対に喰らうから、臆病に行ってくレ」
という忠告の言葉も、余り耳に張っていなかった。
それが、周りの声を聞き入れ始め、キリトと組み、そこで初めて―――――彼女を真っ向から見る事が出来ていた。
……もし本当にディアベルを貶める様な人物なら、女である無しに関わらず心配と忠告の言葉を投げかけたりはしないと。
『ベータの情報は絶対じゃない』等と言わない、と。
「あの人はそんな人じゃない……っ! さっきから誰なの!?」
怒りのこもった言葉を投げ掛けつつ周りを見渡すが、其処には本気で知らないと首を横に振ったりジェスチャ―で表す人間ばかり。
誰かの後ろに隠れながら、コソコソと移動しながら、不安と敵対心を煽っているその人物に、アスナは歯を食いしばるほどの怒りを覚える。
そしてそんな彼女を嘲笑うかのように、今度はアスナへも注意を向けさせる言葉が振り掛ってきた。
「なら……仮に騙していないとして――――何故ベータテスター共は情報を教えてくれなかった? そりゃあ、ボスが刀スキルを繰り出しくるなんて知らなかったかもしれない……でも刀スキル自体
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