暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第七話 天流
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彼の体は揺らめき、そして掻き消えた。

「え……!?」

 少女の思考に発生した一瞬の驚きと動揺。

 何が起こったのか理解できない中、しかし戦闘中であると言う意識だけを頼りに周囲を見渡す。

 そして気づく。

 背後に立ち、銃口をこちらに向ける黒鐘の姿を。

 振り返るが、間に合わない。

 黒鐘は少女の頭部に向けて一発の弾丸を放ち、直撃させた。

「う――――っ!?」

 彼の放った魔力弾に殺傷能力はない。

 が、少女の脳に強い衝撃を与える。

 それを原因に激しい目眩を発生させ、そして気絶させた。

「取り敢えず、起きたら話しを聞かせてもらうか」

 そう言って黒鐘は警戒を解き、地面に落下する少女を掴もうと迫る。

《っ、マスター!》

「ッ!?」

 が、そんな黒鐘の懐に金色の魔力弾が放たれた。


*****


(今の……何?)

 薄れゆく意識の中、少女はこちらに迫る少年のことを考える。

 彼が起こした、幻を見せたような技。

 幻術魔法?

 いや、だとしたら魔力の残滓が残るはず。

 風船が破裂した際に破片が飛び散るような、何かしらの痕跡が残るはず。

 しかし彼が発生させた分身には、その残滓が無かった。

 ならば一体、彼は何をした?

(ううん、それより、私は)

 自分は負けた。

 その事実だけが、彼女の心を締め付ける。

(ダメ、勝たなきゃ)

 そして手繰り寄せる。

 薄れゆく意識を手繰り寄せ、強引に引っ張っていく。

(私は、負けちゃダメなんだ!)

 そう、彼女は負けられない。

 『負けることを、許されない』。

 その思い一つで、小さな奇跡を起こす。

「フォトンバレット」

「っ!?」

 迫る黒鐘の腹部に右手を伸ばし、掌に生み出した魔力弾を発射する。

 不運にも彼のデバイスの勘が鋭く、回避されてしまった。

 だが同時に距離を取ることに成功し、意識は少しずつ回復していく。

《マスター、大丈夫ですか?》

 彼女のデバイス/バルディッシュが心配そうに声をかける。

「うん、大丈夫。 まだ、頑張れる」

 そう言って呼吸を整えると、足元に円形の魔法陣を展開させる。

 杖を前に構え、全身を駆け巡る魔力に意識を集中させると、前方に複数の魔力弾が発生する。

 それは一つ一つが電気を帯び、ただの魔力弾以上の威力を発揮するものとなる。

 彼女が持つ魔力変換資質/電気によって生み出された魔力弾は、そのまま雷の弾丸となって放たれる。

「フォトンランサー、ファイア!」

 発射合図と共に六発の弾丸が放たれる。

 雷
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