第2章 VS武偵殺し
6.終わりの始まり
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それは俺が武偵高で二年生に進級する始業式前日の夕方だった。
一年間で何も得ることができなかった俺は、男子寮の側のたった一つポツンと置かれた周りに何もないベンチで夕日を見ていた。
明日は始業式。また無意味な一年を始めるのか、それとももうここで引退して普通の高校に転入するか。俺の知り合いの同じEランクの奴らは才能がないことを理解してあいさつもなく去っていった。何も言わなかったのはお前もだろうということを暗に伝えたかったのだろうか…そう深読みしてしまうほど、俺の精神は異常だったらしい。
期末試験の結果が記載されている紙が俺の手から風で離れ飛んでいく。見られたらまた笑われる。そう思うが
ま、どうせ変わらずのEランクだったから見られてもいいかと目で追うだけで取りには行かなかった。Eランクは下手なことしない限り取らないとされておりDランクとCランクがもっとも多く、EはAランクなみに少ない。
人間とは下を見て自分はまだ大丈夫だと安心する生き物だ。だからこそ俺の顔も、ランクもかなり有名だ。罵るために、自分を否定するために。
最後こそって思ったんだけどな…本当にもう、無理みたいだ。
明日転校届け出でも出すとするかな…。
と思った時だった。
「あんた、これ落としたわよ?」
横から、先ほど飛んでいった成績表を俺の元へ返しに来てくれたやつがいた。わざわざ俺に話しかけてくるなんて、変な奴だな。
「…ああ、さんきゅな」
「どうしたの?体調でも悪い?」
顔も見ずに受け取ってお礼だけいうと、そいつはなぜか俺の横に座って顔を覗き込んできた。な、なぜ!?
「お、おお!?」
俺は思わずベンチの端へ移動してその子の顔を見てしまった。
「なんでそんなビックリしてんのよ??ちょっと失礼じゃない?」
その《《ピンクのツインテール女》》はそう言ってこっちに近づいてくる。
男子としては嬉しいが…。
「なっ、なんでもないっての!!いいから俺に近づくな!」
「はぁ!?せっかく心配してあげたのになによその言い方!!日本人ってみんなそうなの!?」
思わず久しぶりに大声をあげてしまった。というかなんで逆ギレしてんのこいつ。まあでも
「ああ、すまん。悪かった。そうだよな。心配してくれてんだよな。悪い、悪い」
「…なにかあったわけ?」
こいつ、どうしてこんな俺にわざわざこんなにしてくれるんだ??こいつにはなんのメリットもないのに。
「まあ色々とな。色々と」
「色々じゃわからないわ。ハッキリ言いなさい」
「…。」
こいつ、空気読めよ。話たくないってことをさりげなーく伝えようとしてんのによ。
……だけど
「わーったよ。くだらない話になるし、途中で切
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