第二十五話 思わぬ再会その二
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「こういうのって」
「お母さんもお婆ちゃんも妹さん達も小さいしね」
「これでも小学校の時は大きい方だったんですけれどね」
あの時が本当に懐かしいです。それが気付いてみれば全然伸びなくなった。皆がどんどん大きくなっていくのに私だけは小さいままだったんです。
「牛乳も豆乳も意味なかったです」
「大体天理高校の女の子は小さいよ」
「はい」
これもよく知っているつもりです。私は特に、って感じですけれど周りも。小さい娘ばかりっていうのも何か凄いことだと思います。
「そうですよね。特に二部の娘は」
「けれど男の子は違うんだよね」
「ですよね。何ででしょう」
背の高い子もかなり多いのが男の子の世界です。私と三十センチは離れてる子もいたりして。不公平じゃないかしらって思える位です。
「私結局伸びなかったしこの前なんてですね」
「どうかしたの?」
「一年生に同級生と間違えられたんですよ」
あの阿波野君のことを話しました。
「酷いですよね、これって」
「ははは、そんなことがあったんだ」
「笑い事じゃないですよ」
むっとした顔で言いました。
「何で一年生なんですか、私が」
「だって千里ちゃん小さいし」
「だからそれはですね」
また言われます。小さいのはわかっていますしその話ですけれどそれでもこうまで言われると。いい加減私も嫌になってきます。
「どうしようもないですし」
「あと顔かな」
「顔、ですか」
「童顔じゃない」
これも自覚があります。
「千里ちゃんって。だからだよ」
「顔もなんですね」
「僕から見ても一年生に見えるよ」
酷い言葉だと思いました。少なくとも三年生って自覚があってしかも歳相応に見られたいですから。それでもこの人は仰います。
「それでもだよ」
「はい」
「別に悪いことじゃないと思うけれどね」
「子供に見られるのが嫌なんです」
今度は目を顰めさせました。
「それが」
「若く見られるのが?」
「若いって私まだ十七ですよ」
十八歳の誕生日はまだ先です。花の十七歳、何かクラスの娘が十七はジグザクラブレターなんて物凄く懐かしい歌を歌っていました。私達が生まれる前の歌でした。
「それで若くって」
「はっきり言って中学生にも見えるよ」
「中学生・・・・・・」
今の御言葉には絶句でした。
「そんなにですか?」
「若く見えれば見える程いいじゃない」
「そうでしょうか」
「まあこの歳になればわかるよ」
そして笑って私に言うのでした。
「こういうこともね」
「はあ」
「さて、と」
ふと腕時計を見ての御言葉でした。
「そろそろ他の子達も来るかな」
「あっ、そうですね」
私は壁の時計を見て言いました。
「そういう時間ですよね」
「ほら、早速」
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