第5部 トリスタニアの休日
最終章 剣と私怨
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ピー喚くだろう』と思っていたため、少し疑問に思った。
怒鳴らなかったのは、シエスタとのキス事件のときのこともあり、ルイズの心は揺れていたからだ。
そんなこんなで、とりあえず機嫌はよくないぞということをウルキオラに伝えるために睨み付けているのだ。
そうして少しすると、羽扉が開き、二人の客が姿を見せた。
深くフードを被っている。
「いらっしゃいませ」
従業員が注文を取りに行くが、それを無視してウルキオラとルイズの座るテーブルへと寄ってきた。
ルイズは襲撃かと杖を握りしめたが、ウルキオラが紅茶を片手に「アニエスか」と呟いた為、フードの中を覗き込んだ。
二人のうちの一人がフードを持ち上げた。
「アニエス!」
アニエスはルイズにささやく。
「お久しぶりです。ヴァリエール殿」
「あなたがいるってことは……、もう一人は……」
「……わたくしですわ」
アンリエッタの声だった。
「二階の部屋を用意してくれ」
アニエスはそう従業員の女の子に伝えた。
すると、その女の子はばっとスカロンのところへ飛んでゆき、二階の客室を一室用意した。
「さてと……、ルイズ。まずはあなたにお詫びを申し上げねばなりません。何ら事情を説明せずに勝手
にウルキオラさんをお借りして申し訳ありませんでした」
「そうですわ。わたしをのけ者になんて、酷いですわ」
「あなたには、あまり重いことをさせたくなかったのです」
ルイズはアンリエッタにきりっとした目を向けた。
「でも、わたしももう子どもではありません。姫様に隠し事をされる方が辛いですわ。これからは、すべて私にお話しくださいまし」
アンリエッタはうなずいた。
「わかりました。そのようにいたしましょう。なにせ、わたくしが心の底から信頼できるのは……、ここにいる方々だけなんですもの」
アンリエッタの言葉に、ウルキオラは口を開いた。
「驚いたな。まさかお前に信用されているとはな」
ウルキオラの言葉をきいて、アンリエッタはウルキオラを見つめた。
少し目が合うと、アンリエッタは頬を軽く染め、俯いた。
「と、当然ですわ。あなたはアニエスを助けてくださいましたじゃありませんか」
「仕方なくだ」
ウルキオラは単調に答えた。
「仕方なくでも、助けられたことに変わりはない。感謝いたす。ウルキオラ殿」
アニエスはウルキオラに頭を垂れた。
そんなアニエスを見て、ウルキオラが発した。
「例ならアンリエッタに言え」
すると、アンリエッタもウルキオラに礼を述べた。
「いえ。私が感謝する側ですよ」
二人の礼の言葉に無反応なウルキオラを見て、ルイズが口を開
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