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僕は体が震えながら、視線を向けられていないか周りを窺う。
誰にも自分に注意がいってないのを確認する。
そして、自分はなるべく目立たないようにそ〜っと、そ〜っとその場で身を低くした。
「(どこか…どこか隠れる所を…)」
身を低くしても、ほんのちょっぴりだけ目立たなくしただけだ。
今自分に視線が向けられていないのが極めて稀な状況なのである。
いつ誰が僕に気付いてもおかしくないし、どこか物陰になるような所を探さないと……。
どこか隠れる所が無いか辺りを見回す。
出来ればこの囲いから逃げられる所……は無くもないが、敵兵の近くを通るため怖くて行けなかった。
だが、それでもこのままでいるのも落ち付かなくて、悪あがきのようにキョロキョロと視線を彷徨わせた。
その時だ―――。
敵兵が何人も固まって集団となっている所を見つけた。
何かを中心にして、数人で運んでいるかのように見える。
その敵兵達の身体の間を縫って、“ソレ”が何なのかチラリと見えた。
あれは…要塞を攻める時に使われたのを見た事がある。
大砲だ。
黒々とした太い鉄の筒。
その重さを支える車輪付きの砲身台。
その二点だけの特徴ですぐに思い出した。
確か、火薬と言われる火の力を使って、重い鉄球を押し出して飛ばす兵器。
木材の柵は勿論の事、石を積み上げて出来た壁でも薄ければ破壊して貫通が可能。
“あれは凄い威力だったなぁ”、と印象に残っている。
「あ…」
大砲を中心に固まってる敵兵達の中で、一人松明を持った男がいた。
その男は、砲身に火を近づけて着火しようとしているのが見えた。
大砲の使い方などよく知らないけど。
あの動作が大砲がその力を発揮させるための動作なのだと何となくわかった。
その筒先が狙い定める先には……エルザ姫がいた。
「あ、危ないーーー!!!」
自分は咄嗟にそう叫んで、気付いた時には飛び出していた。
あれってすごく痛かったんだから、砲弾が女の子の体に当たったらいけない。
そして、考えるよりも先に体が勝手に動いた。
エルザ姫と大砲の間に体を割り込ませ―――直後、大砲が唸りを上げた。
「ぐぼほおぉぉおッ!?」
ドカァアン!と轟音が聞こえた、|黒煙《こ
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