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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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 もはや向こうも必死であり、数の優位を感じる余裕がなくなった表情を並べた。

()れぇ!」
「くそがぁあ!」

 鬼気迫(ききせ)る雰囲気で、姫様の周りに何人もの敵兵が襲いかかる。
 槍のリーチを()かし、数の差を活かし、八方からエルザ姫に攻撃を仕掛(しか)けようとした。
 だが、エルザ姫はそれに(ひる)む事なく体を(ひるがえ)し、ドレスが破ける事もなく刃を()(くぐ)った。

「しゃらくせぇ!!」

 あとは、ハエを払うかのような軽さで敵兵達は拳の餌食(えじき)となった。

 もはやその一角は立っている者はほとんどいない。
 大きく(かこ)いを作っている敵兵が、攻めるべきか二の足を踏んでいた所を、エルザ姫の視線が向いた。
 
 逃げるか、攻めるか、そんな迷う暇も与えずに標的(ひょうてき)にされた敵兵にエルザ姫の暴力が降りかかった。


『ぎゃー!』『うわー!』『ひぃー!』

 悲鳴がいっぱい聞こえてる。

 もうこれは完全に弱い者(イジ)めだ。
 エルザ姫という暴力を止める事は出来ないし、自分にはただ見ているしか出来なかった。


「…………はっ!?」

 そうだった。 そう言えば自分の事を忘れていた。

 エルザ姫のメチャクチャさに置いてけぼりになっていたが、今の自分も結構ピンチである。
 あそこでエルザ姫が(かこ)いという(かこ)いをボッコボコにしているけど、全体的な視点で見れば僕はまだ野営地(やえんち)のド真ん中でボサッと()っ立ってるだけである。


 ヤバイ……!

 エルザ姫があそこで暴れてるから敵兵の注目を集めているけど…今、僕の状況は依然(いぜん)としてヤバイ。

 僕…剣一つも持ってない無防備(むぼうび)な状態で。
 野営地(やえいち)のど真ん中で。
 敵兵に(かこ)まれてる状況で。

 ―――置き去りにされてる!?


「(ヤバイ……この状況、結構ヤバイ)」

 今は周りの視線はエルザ姫に向いている。
 だがもし…敵兵が意識がこっち向いたら…孤立(こりつ)した僕は逃げ場もなく狙われてしまう……!


 サァ〜、と血の気が引いていくのがわかる。

 どうしよう。

 エルザ姫が多勢相手に(イジ)めているけど、ヘタすると今この瞬間にも自分は多勢に(イジ)められる事になる。

 武器も無いんだからまともに戦う事なんて出来ない。
 じゃあ、あそこでエルザ姫みたいに拳で立ち向かうか?

 どこの世界の常識か知らないけど……あんなの無理! 素手で武器持ちを相手に、バッタバッタとなぎ倒すなんて普通出来ないから!!

「……っ…!」


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