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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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度が、この今にも怒鳴(どな)り声をあげそうな男の神経を逆撫(さかな)でした。

「確か最近ウザいくらいちょっかい出してるとこの国だろ? ん?今は属国(ぞくこく)だっけか? まぁ、そっちから攻めて来て返り()ちにあったんだから、自業自得(じごうじとく)だろ」
「き、さまぁあ!! 小国のデトワーズ(ごと)きが!」
「それで、国力がゴッソリと減って弱った所を軍事国家ガレリアに脅されて、首根(くびね)っこ押さえつけられたんだろ。 小国以下になるなんて、間抜けだな」
「黙れぇ!!」

 ひえぇえ……(あお)ってる、(あお)っちゃってるぅ!

 チラホラとどこかで聞いた事のある情勢が脳裏(のうり)(かす)めたが、お国事情は自分はよく知らない。
 だが、向こうは一方的に私怨(しえん)を向けている辺り、物凄く嫌な思いをしたというのが伝わってくる。

 しかし…。

「ま、いっか。 用事があったから、こっちから来てやったぜ」

 エルザ姫はそんな事も歯牙(しが)にもかけず、右の拳を掌で包み込んでゴキリ、と指を鳴らした。


「―――全員、ブッ飛ばす」


 それが合図となった。

 エルザ姫の()き出しの戦意を目の当たりにして、隊長らしき男は(ひる)んだ。
 そのため号令(ごうれい)をかけるのが遅れ…肉薄(にくはく)してきたエルザ姫に―――真っ先にぶん殴られる事となった。

「おるぁああ!!」
「っ、んばぁあ!?」

 (すく)い上げるように、真下から叩きつける(あご)への一発。
 首から上がもげそうな凶悪な一撃を受けた隊長らしき男は、文字通り上空へとぶっ飛ばされた。

 非常識を体現(たいげん)したかのような光景。
 それが、一方的な蹂躙(イジメ)の合図となった。

「そこぉ、次だぁあ!」

 隊長らしき男をぶっ飛ばしたら、次の標的(ねらい)は取り(かこ)んでいる敵兵だ。
 エルザ姫は多勢無勢(たぜいぶぜい)なのもお構いなしに、目に付く敵兵を滅多打(めったう)ちを始めた。

 飛ぶ飛ぶ。 敵兵が乱れ飛ぶ。
 肉がひしゃげるような音や、鎧が砕けるような音が耳にこびりついてくる。
 一息(ひといき)つく頃には10人単位でエルザ姫の拳に倒されていく。

「オラオラオラオラァッ!!」
「(ひえぇ〜〜〜…!)」

 おっかない事この上ない。
 鎧を(まと)った男が見る見る内に倒されて減っていくなど、怖くて見てられないくらいである。

 怖いが、この野営地(やえいち)を全滅させそうな勢いだ。 マジで。

 あちらさんも身の危険を感じたのか、(あわ)てて身構(みがま)えて武器をエルザ姫に向けた。
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