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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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ようだ。


『くそがっ、ふざけやがって襲撃(しゅうげき)だと!?』
(かこ)め、(かこ)めぇ!!』


 ワラワラと天幕(てんまく)や物陰から()いてくる敵兵。
 武器を手に、数を頼りに、敵意を(あらわ)にして八方(はっぽう)から僕とエルザ姫を取り(かこ)んだ。

「ひ、姫様ぁ、敵がいっぱいですよぉ…!?」
「おー、いっぱいだな」

 自分とは違い、こんな状況でもエルザ姫は不遜(ふそん)な態度を通していた。
 臆病な自分と違って、この常識というものが当てはまらないこのお姫様に(きも)っ玉が図太(ずぶと)い。

「(怖い…! この状況怖いよぉ…!)」

 左右に視線を見渡すが、周りが臨戦状態(りんせんじょうたい)の敵兵だらけだ。

 もはや逃げ道などどこにもなく、周りが遠巻きにいつ襲いかかってもおかしくないこの状況が怖い。
 正直泣きたいけど、声一つでもあげたらどんな刺激を与えてしまうかわからないため、声を出せずにいた。


 エルザ姫か、周りの敵兵か……どちらかが先に動こうか緊張感(きんちょうかん)が漂う中、敵兵の中から一人、声を出した。

「エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ……」

 その男はなんかすごく恨めしい声でエルザ姫を(つぶや)いた。

 (かこ)いの中に一歩踏み出してきたのは指揮官らしき男だった。
 他の敵兵よりは防具を着けていて、(かぶと)には飾りらしきものがあるから、自分の経験上あれが隊長格なのだとわかった。

 その男は自分には一切視線を向けず、ただエルザ姫に向かって鋭く(にら)んできた。

「よくも、おめおめと顔を出せたな…!」
「誰だお前? ここの指揮官っぽいけど、会った覚えはないな」
「貴様にはなくても、こちらにはある! 砦に(おもむ)くという情報があったが、まさか本当にいるとはな…! この撲殺姫(ぼくさつひめ)め…!」

 え、なにその呼び名。 怖い。
 このお姫様、そんな呼ばれ方されてるの? なにそれ怖い。

「先の戦いの屈辱(くつじょく)…何倍にして返してやる!」

 何やら向こうの方はエルザ姫…デトワーズ国に恨みっぽいものがあるようだった。

「貴様の国のせいで、()が国は……!」

 女の子に対して悪意丸出しで、ギリギリと恨めしそうに(にら)んでいる。
 ちょっと人として近寄(ちかよ)りがたくて、自分は口を(はさ)めなかった。

「あ〜…」

 だが、そんな悪意もそよ風のようにしか感じていないエルザ姫は平然(へいぜん)と答えた。

「お前んとこ、確かアレだったろ?」

 ピクリ、と隊長らしき男は反応した。
 エルザ姫の態
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