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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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んきゃく》”などと言う表現では追いつかないような速さで戦場(せんじょう)を駈け出す。
 もはや自分の足は地面に付いていなかった。

 その時、自分は見た。

 気付けば、周りには人が少なくなっていた。
 僕らはいつのまにか戦場(せんじょう)である場所を少し離れていて、背後には敵味方(てきみかた)()わず立っている者がかなり激減している。
 確かに、ここはもう姫様に荒らされて、もう戦う必要もないのだろう。


 これはひどい。




 ―――。


 そうこうしてる内に…野営地(やえいち)まで来てしまった。
 というかもう目の前だった!
 本当に来てしまった!

 いくつもの天幕(てんんまく)とそれを(かこ)う柵で出来た敵側の拠点(きょてん)に間違いなかった。
 そして、そこにはやはり多くの敵兵が()めていて、突撃していくエルザ姫の姿を視認(しにん)した。

 少女が一人(+おまけ)が突っ込んでくる、という光景に敵兵も動揺(どうよう)して動きが(にぶ)っていた。
 その動揺(どうよう)硬直(こうちょく)の間に、エルザ姫が雄叫(おたけ)びをあげながら肉薄(にくはく)した。

「ヒャッハー!」

 柵越しに弓を()(ひま)など与えない。
 あっという間に近づいたエルザ姫は腕を(しぼ)りあげた。

「オラァ!!」

 エルザ姫が()りだした一撃は、柵を吹き飛ばした。
 この時、エルザ姫が殴り飛ばした破片(はへん)により、柵越しの向こうにいた敵兵達はかなり悲惨(ひさん)な事になった。
 鎧が陥没(かんぼつ)したり、大怪我をしたり、中には柵の杭が胸に刺さってる敵兵もいた。

『あ、が……うぅ…』『(いて)ぇ…(いて)ぇよ……!』『っ……がはぁっ……!』

 生々しい上に痛々しい光景だ。

 本当にエルザ姫はムチャクチャである。
 敵の野営地(やえいち)で、開幕一番(かいまくいちばん)でこの被害だ。

「ひ、ひえぇ〜…! こ、ここまで来ちゃったよぉ……!」

 僕はと言うと……この状況に開幕一番(かいまくいちばん)からビビっていた。
 来る前からビビっていたが、今ここにいる時点で余計にビビっていた。

 エルザ姫は僕を引き()りながら柵の内側に入る。
 そこでようやく緊急事態(きんきゅうじたい)だと悟った敵兵の怒号(どごう)が響いた。

「出あえっ、出あえーッ!」

 ザカザカッ、と軍靴(ぐんか)大挙(たいきょ)して取り(かこ)む音が鳴る。
 攻撃を仕掛けられた側が強襲(きょうしゅう)をかけられて、大慌てで野営地(やえいち)にいる全ての兵を動員した
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