暁 〜小説投稿サイト〜
暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
11
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

『ぎゃあ!』『ぐべっ!』『ぎえぇ!』『ぶるぉあ!』『ぐはぁ!』『ひでぶ!』


 この悲鳴の数々(かずかず)が聞こえるだろうか?
 ちょっと(あわ)れなくらい(いた)ましい悲鳴を聞かされる身にもなってほしい。
 エルザ姫の拳に敵味方(まとめて)関係なくブッ飛ばされてるものだから、通った(あと)は酷い有様(ありさま)である。

 悪く言えば無残(むごい)、良く言えば悲惨(ひどい)


 流石にあんまりだと思って、エルザ姫をやんわりと(なだ)めようとするものの…。

「姫様ぁ、お願いですからもうちょっとお手柔(てやわ)らかにー!」
「うるせぇ、黙ってろバッテン!」

 …これである。

 それどころか、僕の“バッテン”呼びは定着(ていちゃく)しつつあった。
 僕、レヴァンテンって名前なのに…エルザ姫は“バッテン”と呼ぶ事に(こだわ)っていて取り合ってくれない。
 むしろ、すれ違う人を片っ(ぱし)から殴り回ってる方に忙しいくらいだった。

「おい、バッテン!」

 うっ……はいはい、バッテンですよ……。

 引き回されて息をつく暇がないけど、自分は姫に返事をした。

「な、なんですかぁっ…?」
「この先、敵ん所の野営地(やえいち)で合ってんだろ!? 今から殴りこみに行くぞ!」

 なん……だと……?


 待って、待って……野営地(やえいち)

 デトワーズ国内に(つく)られてある防衛拠点(ぼうえいきょてん)とは違い、野営地(やえいち)は“他国の領土(りょうど)”で設営(せつえい)する前線拠点(ぜんせんきょてん)だ。
 大体(だいたい)において、侵略(しんりゃく)目的で設営(せつえい)されてるわけだから物資(ぶっし)も何もかも持ち運びしなければいけないが、それでもそこは“拠点(きょてん)”なのだ。

 当然ながらそこには敵兵がわんさかいるはず。
 そこに殴りこむ……? たった二人で武器も持たずに……?

「ちょ、ちょっとちょっと、そんな無茶なーーー!?」

 自分はエルザ姫の提案(ていあん)に、(なげ)きの悲鳴を上げた。

「姫様ぁ! なんでそんな怖い事言い出すんですか!? ほら、砦に戻りましょう、戻るなら今の内ですよ!?」

 エルザ姫がやたらと強いのはわかったけど、それでも“拠点(きょてん)”なのだから防御は(あつ)いはずだ。
 そんな所にたった二人で乗り込んだら、四方(しほう)から袋叩きにされてやられるに決まっている―――僕が!!

「ここにはもう用は無いんだよ! つべこべ言わずに行くぞ!」
「ひぇえあぁぁああぁあ〜!?」

 エルザ姫は更に加速を上げて、“|健脚《け
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ