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『ぎゃあ!』『ぐべっ!』『ぎえぇ!』『ぶるぉあ!』『ぐはぁ!』『ひでぶ!』
この悲鳴の数々が聞こえるだろうか?
ちょっと哀れなくらい痛ましい悲鳴を聞かされる身にもなってほしい。
エルザ姫の拳に敵味方関係なくブッ飛ばされてるものだから、通った跡は酷い有様である。
悪く言えば無残、良く言えば悲惨。
流石にあんまりだと思って、エルザ姫をやんわりと宥めようとするものの…。
「姫様ぁ、お願いですからもうちょっとお手柔らかにー!」
「うるせぇ、黙ってろバッテン!」
…これである。
それどころか、僕の“バッテン”呼びは定着しつつあった。
僕、レヴァンテンって名前なのに…エルザ姫は“バッテン”と呼ぶ事に拘っていて取り合ってくれない。
むしろ、すれ違う人を片っ端から殴り回ってる方に忙しいくらいだった。
「おい、バッテン!」
うっ……はいはい、バッテンですよ……。
引き回されて息をつく暇がないけど、自分は姫に返事をした。
「な、なんですかぁっ…?」
「この先、敵ん所の野営地で合ってんだろ!? 今から殴りこみに行くぞ!」
なん……だと……?
待って、待って……野営地?
デトワーズ国内に造られてある防衛拠点とは違い、野営地は“他国の領土”で設営する前線拠点だ。
大体において、侵略目的で設営されてるわけだから物資も何もかも持ち運びしなければいけないが、それでもそこは“拠点”なのだ。
当然ながらそこには敵兵がわんさかいるはず。
そこに殴りこむ……? たった二人で武器も持たずに……?
「ちょ、ちょっとちょっと、そんな無茶なーーー!?」
自分はエルザ姫の提案に、嘆きの悲鳴を上げた。
「姫様ぁ! なんでそんな怖い事言い出すんですか!? ほら、砦に戻りましょう、戻るなら今の内ですよ!?」
エルザ姫がやたらと強いのはわかったけど、それでも“拠点”なのだから防御は厚いはずだ。
そんな所にたった二人で乗り込んだら、四方から袋叩きにされてやられるに決まっている―――僕が!!
「ここにはもう用は無いんだよ! つべこべ言わずに行くぞ!」
「ひぇえあぁぁああぁあ〜!?」
エルザ姫は更に加速を上げて、“|健脚《け
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