第2章:埋もれし過去の産物
第38話「覚醒の時」
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――そのはずはないよ。
「なに...?」
しかし、“僕”...ムートは否定してきた。
―――僕は君で、君は僕。なら、扱えるはずだよ。“導王流”の極致を。
「導王流.....。」
思い出すのは、かつて恭也さんと試合をした時、最後に使った技。
確かにあの時、“奥義”と無意識に言っていた。
―――思い出して。かつての自分を。そして、彼女を...シュネーを...。
「っ.....!」
ムートが光の粒子となり、僕の中へと入ってくる。
その瞬間、僕は思い出した。
僕が導王だった事。
かつての名がムート・メークリヒカイトだった事。
そして...シュネーを、救う事が出来ないまま、庇って死んでしまった事。
...それら全てを、鮮明に僕は思い出した。
「あぁ....そうか、そうだよな...。」
そりゃあ、悔しいよな。こんな結果なんて....。
「...それを目の前で見たんだ。シュネーもああなるさ。」
狂気に堕ちた緋雪を思い浮かべ、僕は苦笑いする。
「...いいさ、やってやろうじゃないか...!」
―――今度こそ、救って...いや、導いてやるよ、緋雪...!
〈....す..ー...すたー...マスター!!〉
「っ!!っ、がぼぼっ!?」
リヒトの呼びかけに僕は目を覚まし、同時に溺れた。
「(し、しまった...!水中のままだった...!)」
咄嗟に息を止め、なんとか溺死せずに済む。
「『リヒト、早速で悪いけど、短距離転移だ!』」
〈海の上にですね。分かりました!〉
咄嗟に息を止めただけなので、当然長くは持たない。
だから、さっさと転移魔法で海の外に出る事にした。
「...ふぅ。」
〈...海の底まで沈んだ時は、どうなるかと思いましたよ...。〉
何とか転移に成功し、一息つく僕にリヒトがそう言ってくる。
「...海の底なら水圧とかが....。」
〈水圧は防護服が。息の関係はマスターが気絶している間は私が保護しておきました。〉
「そっか。助かったよ。リヒト。」
すると、なぜか照れるような雰囲気で点滅するリヒト。
〈いえ...それより、マスターの雰囲気が...。〉
「....久しぶり、とでも言うのかな。フュールング・リヒト。」
〈....え...?〉
いきなり正式名称で呼ばれたリヒトは少し驚く。
「....これで、本当に再会したんだね。リヒト。...もう、導王ではないけど、これからも頼りになる相棒とし
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