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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
番外編 「アストレイルーター」
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果はアニマス40の力ない手を持ち上げ、「あちち」と呟きながらも手を優しく握る。
人間ではないアニマス40は機能不全で熱量をコントロールできておらず、冷却マットの布団で寝かせてもやっと体の温度が摂氏45度近くに下がっている状態だ。そんな熱い手をわざわざ触った鈔果は、驚くほど真剣な表情をしていた。
「アタシ、馬鹿だからわかんねーけど……本当にこの子が捨てられたんなら、その親ムカつくわ」
ぎゅっと力強く握られ、アニマス40の顔が微かに動いた。大分安定してきたらしい。とにかく手を付けられるところだけ修理して、彼女が目覚めたら――目覚めたら、松乃はどうするべきなのだろうか。
(鈔ちゃんに任せるっていうのもいいかな……こっちはこっちで偽造戸籍とか名前とかも、準備しとかないと)
少しずつ、少しずつ、アニマス達は、その道から外れていく。
「選ばれた道」から、「選んだ道」へと――。
同刻、海岸線。
「え、この先通行止めなんですか?」
「はい、ちょっと大きな事故が起きててね……悪いけど迂回してください」
「……ま、いいか。急いでる旅でもないし……えっと、北はあっちだから隣町に行くには………」
「嘗てアニマス16を完全敗北に追い込んだ男」は、スマートフォンで地図を確認しながら松乃の家の前を通り過ぎて行った。互いに互いの存在に気付かないまま、その男は町を後にした。
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