暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
番外編 「アストレイルーター」
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ことを客観的に確認し、受け入れた筈だ。なのに、どうして彼女は大気圏を突破して、しかも都合よくDTDを発動させた状態で、リンクまで切断したスタンドアローン形態でこの日本に墜落してきたのだろうか。

 この任務失敗の影にはどうやら「地球の別アプローチからの妨害」があったらしい。しかし、それを差し引いても彼女の行動には疑問が残る。作戦内容は松乃も知っていたし成功するだろうと思っていたので、このような結果になったからには余程予想外が起こったのだろう。
 問題は、「上」がその余程の事というものをなかったこととして扱っているという事実だ。恐らく数いるアニマスナンバーの中で唯一、アニマス16たる松乃だけが隠匿という事実を知っている。死んだはずのアニマス40を発見したのが松乃だけだからだ。

 何故、何のために隠匿したのか?

 上位の指示だからと言葉で言ってしまえば簡単な事だ。しかし、上は明らかに重要な情報を隠していることにも違いない。アニマスとしては間違っているが、松乃はこの事に「胸騒ぎ」のようなものを感じずにはいられなかった。何か重要な事を知らされないままに動かされているような、論理付けて説明できない漠然とした疑問を。

 さらにもう一つ。アニマス40が何故日本に堕ちて来たのか――これが分からない。アニマス40が任務に当たった時間の座標、緯度、経度をざっと計算してみたが、どうにもこれが日本に墜落するルートに乗るとは思えないのだ。確率的にはユーラシア大陸の中央辺りが最も可能性が高く、突入角を考えてもここに辿り着くのは狙っても難しい筈だ。
 しかも、アニマス40はDTDの不完全な発動で機能不全が起きていた筈なのに、墜落直前までバリアを展開していた。再起動さえ難しい状況になった体の中でバリアだけが正常に作動するなどと、そんな都合のいいことが起きるだろうか。

 まるで『そう定められていたことであるかのように』彼女がここに辿り着いたのは、何者かが彼女が生き残る事を望んだということなのだろうか。

 考えにふけっていると、鈔果がアニマス40を見て呟いた。

「この子、親はいるのかなぁ……」
「いると思うよ。子供って親がいないと生まれないものね」
「じゃあ、何でこんな所に落っこちて、熱を出しながら一人で寝込むことになっちゃったんだろうなぁ……親ってさ、フツー心配するだろ。宇宙にいるんなら娘の居場所ぐらい直ぐに調べて迎えに来たりできるんじゃねーの?」

 思わず松乃の言葉が詰る。彼女はアニマス40の親に当たる「上」に彼女の生存を報告していない。報告した結果、彼女が再度ATAを入力させられ処分されるかもしれないことを考えた時、松乃はそれを躊躇った。

「……捨てられちゃったのかもね。でないとこんな姿で地球まで落っこちてこないよ」

 鈔
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ