プロローグ
のんびりとした始まり
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「・・・」
彼、<朝比奈 狐珀>は、一言も声を上げず、ぱちくりと絵本で見る黄金の果実のように美しい金色の瞳を開け、屋上に部屋全体を照らしている円形の蛍光灯が真上に見える。
はて、と思い、周りを見る。右手はだら〜んと落ち、枕と思っていた場所は肘掛のようなもの。ようやく、寝ていたのがベッドではなく、ソファだと分かった。
理由は昨日、とある友人宅に留めて頂いた。ただそれだけである。
それで寝る部屋がないのでここ、リビングで寝ることになった
「起きたか?」
そんな狐珀の顔を青色の髪とこれまた青い瞳をした友人、<五河 士道>が覗きこむ。その顔は少し迷惑そうであるが、起きたことに気づくと腰に手を当て、溜息混じりに息を吐いた。
狐珀は士道と数秒目を合わせた状態を続けた後、だら〜んとしていた手をばっと垂直に上げ、映画のキョンシーみたいに硬直した。
「うおっ!?なんだ!?」
ギリギリで避けなかったら自分の顔に槍みたいに硬直した指が直撃すると分かり、ソファから自らの手で身を突き飛ばし、なんとか攻撃とも思える狐珀の行動から回避を行った。
「起こして」
男と女の中間よりも少し低い程度の声を機械で再生したみたいに始まりから最後まで全て同じトーンで狐珀が士道に聞こえる程度の声で言った。
「・・・は?」
士道が理解し難いその言葉を聞き、1秒程度遅れて素っ頓狂な声を上げる。
すると狐珀は何を思ったか、腕を前に突きだした状態でまな板の上にいるとれたて新鮮の魚がピチピチ跳ねるように動きだした。しかし、あのようにうねってはいない。少ししか距離が開いてないが、どこも全く力を入れている感じも、動かしている感じもない。まるでソファの中にゲームで出る程跳ねるバネでも仕組んでるんじゃないかと思うくらい同じ体制で跳ね始めた。全く知らない人が見たらいきなり気が狂った人にしか見えないであろう。
しかし、士道が五河家に養子として入った頃から、親戚関係で合っていた為、あまり驚かず、はいはいと言って先程とは違いロデオみたいに狭い中で動き回っている狐珀の腕をがしっと掴んだ
「分かったから暴れんな」
呆れ混じりに反対側に回ると、ある程度力を入れてぐいっと引っ張る。そこまで重くないのが幸いし、ロボットみたいに一切体を動かさず垂直のままソファの端に立ち上がった
「下りろ」
「・・・命令されるの嫌」
と口では言うが、素直に下りてくれた。
この二人はこんな仲である。
「キツネ〜おかわり〜」
士道の可愛い妹こと<五河 琴里>が白いリボンで二つに括られた長い赤色の髪をしていて、まるで悪いことを一切知らないような純粋無垢な瞳でキッチンに立って、士道から借りたエプロンを身に付けた狐珀へ、所々米粒の残っているピンク色のお
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