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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章始節 奇縁のプレリュード  2023/11
5話 融骸の怪
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れほど毒を撒き散らすというのか。想像だに厄介なことこの上ない。


「俺は耐毒スキルがあるから、気にすることはない。グリセルダさんは可能な限り取り巻きにも接近しないでくれ」


 そう言っている間にも、HPバーの上に表示されていた紫のアイコンは消滅する。
 耐毒スキルの恩恵があるからこそ損害も少量で済むが、それでもダメージを全く受けないではない。取り巻きを生み出す特性があるだけに、長期戦はやや分が悪いだろう。ならば、早急に決着をつけるべきか。
 既に生み出された二体の骨を先程と同様、擦れ違い様に脊柱を断って撃破し、新たに取り巻きを生み出そうとするカラティンに詰め寄り、四連の剣閃《バーチカル・スクエア》がゲル状の表皮に喰らい付く。だが、それだけだった。


「………なんだこれ!?」


 刀身が通過した表面にダメージエフェクトはなく、微かに波打ってはすぐさま何事も無かったかのように収まってしまう。当然のことながらHPバーはビクともせず、何事も無かったかのように黒い異形は佇んでいる。

――――ように見えた。


「うぉあ!?」


 突如、奇妙な悲鳴をあげつつ後方に跳びしさる。どうやら本体への攻撃に対しては内部に取り込んだ石の刃とゲル状の部分を鋭い槍のように変質させて突き出し、カウンターを繰り出してくるようだ。リーチは石の得物の刃渡りに依存するようだが、体表のほぼ全域から放射される刺突はPTでの挑戦を考えると脅威となるだろう。
 本体との接近戦は無意味と判断し、一層に思い切って後方に離れる。それにしても攻撃が通じないのでは戦闘が成り立つのかさえ気がかりになってしまうが、それを含めての様子見だ。こうなっては、確実に倒せる取り巻きを蹴散らしていくしかないだろう。

 再び、カラティンは液体と残骸を滴らせて取り巻きを生み出す。今度は三体、これで総数は七体。どこまで生成するのかを見定める意味でも、ここは耐え忍ぶべきだ。そう自分に言い聞かせて、再び湧いた骨と石像の融合体を容赦なく薙ぎ倒す。幸いというべきか、取り巻きは脅威にはならないし、本体からの攻撃はカウンターに限定されているとみて良さそうだ。両断されたツギハギが青いポリゴン片となって消滅し、善戦と思わせて何一つ進んでいない戦闘の最中、視界における不可解な変化に呼応するようにグリセルダさんが再び声を張り上げた。


「あ、スライムのHPが減ったわ!」
「取り巻きを生むのも一苦労ってわけだ」


 子を殺されて身が裂ける思い、というわけではないだろう。
 理屈としては、本体は液体故に刃を透過させてしまうが、骨や石像の駆動の為に充てられるゲルもまたカラティンの一部。筋肉や接着剤として使われるそれらは、液体では機能せず、弾力や靭性を持った固形の姿を取らざるを得
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