第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
5話 融骸の怪
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なのだろうか。
疑問は尽きないが、とりあえずは取り巻きを湧出させるタイプのようだ。それにしても彼等を不気味と思う反面、既に満身創痍に見えてしまっているのは気のせいだろうか。どこか同情を禁じ得ない。とはいえ、こうした不定形のモンスターは現実に存在する熊や狼をモチーフにしたようなモンスターとは異なって、弱点や特殊攻撃というものが判然としない。故に、グリセルダさんのリザーブには側面的に重要な意味合いが含まれることとなる。
「………グリセルダさんは距離を置いて観察、もし変わったモーションや変化があったら教えてくれ」
「わかったわ。気を付けてね」
軽く拳を当てる動作は、それなりの信頼度に達した証か。
今度こそは愛剣にも出番を与えるべくコートの裾を払い除けて抜刀すると、異形の骨と石像が猛然と吶喊を仕掛けてくる。どうせ向こうから来てくれるのだから然して変わりはないのだが、一応は様子見を兼ねて、こちらから攻め込むような真似は避ける。半身の状態で剣を正眼に、拳は降ろしつつ軽く握って、構えが造られる頃には、AGIで勝ったスケルトン《Indiscriminate Variant》が剣を握った怪腕を振り上げていた。
「………まず一匹」
隙だらけ、というか、本当に何もない伽藍堂の胴体を擦れ違い様に《ホリゾンタル》で薙ぐ。
遅れ、振り上げた剣の重みに耐えかねるように、塔が倒れるように、脊柱から黒い液体を吹き出しながら後方に倒れる骸骨の上半身を見捨てて、今度は腕だけで這い寄る石像に視線を向ける。外見こそ骨と石では共通項などなさそうなのだが、それでも石像の固有名はスケルトンと同名。お手盛り勘定というか、設定遵守というか、なんとも大雑把な相手だ。それでも、これまで相手にしてきたのだから石像への戦法は心得ている。腹を引き摺りながら、ぐらつく首も構うことなく迫ってくる相手は実に御しやすい。
「フッ!」
右手の剣を小脇に、震脚を伴って繰り出される掌底は体術スキル重攻撃技《虎吼》。単発スキルの中でも《裂衝》に次ぐ威力を持ち、発動までのモーションも短く済む優秀な拳撃は襲撃者の喉元を穿つ。ひび割れを衝撃が駆け巡るや否や、上半身だけの像は見るも無残に弾け飛ぶ。黒の液体はさながら血液のように飛び散って、俺にも返り血のように降りかかる。
そこで、戦闘を開始してから初となるグリセルダさんの声が空気を裂いた。
「スレイド君、毒を貰ってるみたいよ!?」
「………さっきの返り血か」
いつの間に、という疑問が飛び出す前に解答に行き当たる。
つまり、あの取り巻きは倒されたタイミングで《触れただけで毒状態にする》液体を飛び散らす特性を有しているということになる。そうなると、カラティン自身が動き出したら、いったいど
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