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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第13話 幻の世界
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「が!?」
たぶん、心理的には不良に殴られた時よりも何十倍の衝撃となってサソリの頬から脳天を貫いた。

白井を幻術に嵌めたことで生じた思わぬダメージにサソリは不機嫌さを一層加速させて車椅子に座っている。
左頬が綺麗な紅葉模様で赤く腫れあがっている中、サソリは焦点が合わなそうな目線で空を見つめていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「……オレここに来てから良い事ねえな」
「黒子!サソリに一応謝ったといた方が」
「ううう、お姉様まで……少しは整理する時間をください」
「一体何を見てたの?」
「い、言えませんわ」
白井の見た景色を思い出すと、白井の頭は沸騰しそうになった。
サソリはヒリヒリと痛む頬に軽く湿布を張ってもらって、またしてもなんとも間抜けが仕上がりとなった。
「全く、どんな幻を見てたらこんなことになるんだよ」
サソリがイラつきながら白井を睨み付ける。
しかし、白井は再び目線をずらす。
イラっとして、その態度にサソリは不満を蓄えていく。

白井自身は、あんな幻を見て、安心しきった自分がいたのは事実。
助けに入ってくれたサソリに安堵感があった。

無言で無視してくる白井にイライラが溜ったのかサソリは、指を動かして近くに置いてあるティッシュの箱を引っ掛けると白井に精度高くチャクラ糸で引っ張ってポコンと当てた。
「な、なにをしますの!?」
「無視してんじゃねーよ!てめえのせいでこっちにどんだけ被害があったと思ってんだよ!全く!!」
投げつけられたティッシュを手に取ってサソリの姿を白井は視界に収める、包帯だらけの身体にブロックで殴りつけた不良が頭を過ぎった。
目を見てみるとすでに紅い光を発する眼ではなく、普段のサソリの眼に戻っていることに気が付いた。
「め、眼が」
「ん?眼?」
サソリは自分の手を重ねてみてジブンの眼の様子を確認した。
「お、やっと戻ったか」
これで目を開けるだけで無制限にチャクラを喰らう心配は当面なくなった。
どうして発動し、どうして戻ったのか不明なことは多いが、ひとまず安堵の息をする。
白井は意を決して、声細く照れたように少しずつ声を発した。
「そ、そのですわ……あ、ありがとうです……の」
「…………」
サソリは眠たそうな眼が一瞬で見開いて、戻ったばかりの茶色の瞳でぱちくりさせた。
「なんか、お前が礼を言うって気持ち悪いな」
ブチン
「き、気持ち悪いってどういうことですの!!」
手に持っているティッシュ箱を投げ返す。コントロールが定まっていないのかサソリの近くにある、デスクの上に二回転がって横向きに止まった。

「いやー、御坂さん若いっていいですねえ」
「本当に、青春しているわー」
老夫婦のようにコーヒーを飲んでのほほんとする御坂と初春に
「お姉様たちまで」

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