第13話 幻の世界
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れが意味する未来とは何か……
御坂はサソリからの漠然とした質問に何を返して良いか分からないようで、椅子に座る初春とサソリを交互に見た。
サソリも答えが返ってくることは期待していなかった。
サソリの腕の中で大人しくしていた白井だったが
「ぐへへ」
とゲスいような声を出して、耳まで裂けた口を見せ始めていた。
「あっ!?」
サソリが反応するよりも先に白井はサソリの首元に手を回して頬擦りをかます。
「ちょ、ちょっと待て!お前」
サソリが開放された腕を使って抵抗するが、まだ力が戻っていないサソリに謎の宇宙的なパワーで抱き着いてくる白井を抑えることが出来ずに身体と身体の緩衝材の役目にしかならなかった。
頬擦りをやめさせようと白井を押していくが、まあこの身体のどこから力が湧いてくるのか分からない位にサソリにニコニコと不気味な笑みで擦り寄ってきている。
サソリの大人な対応に舌を巻いていた御坂と初春だったが、軽く襲われているサソリの言動と拒絶するような構えに気が付いて、再び引きはがそうと腕や腰を掴んではみるものの……
「すごい力ですよ!」
「サソリ!さっきから何見せてるのよ?」
「知らねえよ!早く抑えろ印が結べん」
先ほどから幻術を解こうとしているのだが、白井が激しく動いているので邪魔されてしまう最後まで完遂することができずにいた。
全身をサソリから引きはがすのを止めて、激しくサソリの前で動いている白井を初春と御坂で押さえつけた。
縦横無尽に動いていた、白井の挙動が多少なりとも静まり、サソリはその隙に印を結んだ。
「解!」
白井に掛けた幻術を解く。
濁った眼に光が宿り、要領を得ない赤子のように眼をぱちくりさせてキョロキョロと頭を巡らした。
「よう、気が付いたか」
白井に対して、サソリはバツが悪そうに聞いた。
「わ、私は一体何を?」
まともな頭の中で気が付いたのは、サソリの胸の中だった。
そこで今までの記憶がよみがえる。
え……あれが幻術!?
今も……?
いや、気が付いたかって聞かれたし……
腕をサソリの首後ろに回したまま固まっているが、徐々に頭が覚醒していくと冷静に自分の姿を客観視していく。
今、どんな状況で……姿勢で人目があって……かなり恥ずかしい状況である。
御坂と初春は、顔を真っ赤にしたまま動向を見守っている。
まるでこれから来る、とてつもない衝撃を予期しているかのように……
自分の目の前にいるのはサソリ
サソリの膝上で座っている
腕をサソリの後ろに回している
そして吐息が掛かりそう程に近いサソリの整った顔
カァァァァァァァァァっと顔を真っ赤にして腕をサソリから離すと右手を思い切り振りかぶり。
「ふにゃああああああ!!!」
バッチィィィィィィンとサソリの左頬を引っぱたいた。
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