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ほね・骨 ・Bone!!〜【30万人の骸骨が、異世界に移住した結果がこの有様だよ!】
7話 祖国戦争  序戦 -3「うわぁ……アンデッドの弱点多すぎぃ?」
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わぁー』と悪意のない悪口を言われてしまう。
断じてそれは許せなかった。騎兵としてのプライド的な意味で。

(騎兵は騎兵だ。騎兵は広い場所で活躍してこそ価値があるっ!
なのになぜっ!太陽は邪魔をするのだっ!)

しかし、このまま出撃すると壊滅するのは必至。デューだって理解している。
でもワルキュラ様の命令は絶対。
デューは二つの矛盾に悩んだ。その果てに――

「出撃するぞ!」

「しゅ、出撃はやめましょうぜ!
こういう時は草原に逃げ……じゃなくて、拠点に篭るのが一番でさぁ!」

焦燥感に駆られた副官がデューを諌めようとする。

「そういう訳にはいかない!
命令されたら、どんな理不尽な内容でも従うのが騎士の義務だ!
統率を乱す事は絶対に許されないっ!
それにお前はまた『リビングアーマー』呼ばわりされたいのか!?あいつらに!」

「ワルキュラ様に意見具申しましょうぜ!
ほら、魔法で通信すればすぐに……あれ?」

この時、ハーンは気がついた。通信用の魔法を使っても情報部と連絡できないことに。いや、他の魔法もほとんど使えない。
明らかに原因は『夜に輝く人工太陽』だった。
あれがアンデッド達が使う暗黒魔法を阻害し、無効化している。
魔法も使えないとなると、戦力は激減である。
世界最強の米軍に突撃して、壊滅するイラク戦車みたいに危ない。

(やべぇぇぇぇぇぇ!!!デューの旦那と一緒に無理心中させられるぅぅぅ!)

副官さんの人生が大ピンチ。
このままじゃ、たった千人のデュラハンと一緒に、14万人の謎の技術を使う軍勢と激戦である。
はっきり言って、現時点では人間側の魔導技術の方が、遥かに上だと判断するしかなかった。
壊滅間違いなし。
敵軍の軽騎兵に退路を絶たれたら、その時点でおしまいである。
あと、少しで出撃しそう。そんな時に助けてくれる天の声がやってきた。
天空から連絡員のゴースト娘がゆっくり飛んできた。幽霊らしい白装束を着ている。

『ワルキュラ様からの命令です。
馬から降りて、重装歩兵として待機せよとの事です』

今日もデュラハンに求められる働きは『動く(リビングアーマー)』だった。
首のない亡霊馬達が悲しそうに、首をブルブル震わせていた。
デュラハン達は悔しそうに全身鎧をガタガタと軋ませる。
騎兵が歩兵として働くのは、現代社会で例えるなら、大企業のエリートがアルバイトをやるようなもの。そう考えれば彼らの苦しみが理解できるだろうか?
騎兵じゃないと分からない苦悩を見て、ゴーストの女の子は不思議そうに首を傾げた。

「リビングアーマーの皆さん。今日は珍しく馬乗ってるんですね。
……あ、すいません。デュラハンでしたよね。
ごめんなさい」




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