暁 〜小説投稿サイト〜
シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
夢殉
[1/6]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
――ここは、何処だろう。今、自分が何処にいるのかが判らない。
ただ……、この場所はとても温かくて、気持ちがいい。心が安らぐ、と言ってもいい。
何処とも知れぬ場所、そこに吹き抜ける風の中に彼は立っていた。取り巻く風に髪を靡かせ、降り注ぐ陽光が笑顔を際立たせている。……いつも、心の中にいた存在だった。
『お久しぶりですね。悠奈さん』
ニコリと笑ったその笑顔。
何度、その笑顔にやられたことか。……いつも、自分の傍にいて当たり前だと思えるくらい。彼は、自分の傍にいたのだから。
『はぁ……、やっぱしアンタはアンタよね?……彰』
ため息をしつつも、その身体を抱きしめた。
ここが、何処なのかなど、判らない。でも、判らなくてもいい。……目の前の彼がいてくれるだけでいいんだ。
『それは、僕のセリフですよ悠奈さん。……悠奈さんは、本当に変わってないですね。安心しましたよ』
そのまま続ける彰。その時少しだけ、表情が変わっていた。
『でも、僕としては心配をしていたんですよ? ……だって、悠奈さん無茶ばかりするんだから。……僕の事の為に、あんな危ない事しなくてよかったのに』
悠奈を心配そうに見つめるその瞳。
吸い寄せられそうになるけど……、この時理解する事が出来た。今、何処にいるのかも、全て……。
『ま、そんな事だろうと思ってたわよ』
『あはは……。悠奈さんって、本当に不器用ですね』
『彰にだけは言われたくないよ』
そう言って笑っていた。
そう、これは≪夢≫なのだと言う事。夢と言うのは優しいものだから。まるで、自分の中の楽園の様にしてくれている。だからこそ、甘えたりはしたらいけないと言う事も判るんだ。
……本当に優しいんだから。
『でも、夢でも何でも、……会えて嬉しかったわよ。……彰』
悠奈は抱きしめる力を上げた。……彼は、一年前に、このゲームで……。
『ええ、僕もですよ悠奈さん。……
あの時
(
・・・
)
、行動の全てに僕は悔いは無かったんですけど。心残りはありましてね』
彰は笑顔の顔に戻した。
だが、悠奈は逆に困惑の表情を見せていた。
『心……残り……』
そして、悠奈の表情は、どんどん曇る。
それはそうだろう。……目の前の男性の命を奪ったのは……。それに、記憶が正しければ、姉弟。姉がいると言っていた筈だ。
――……自分のせいで。
悠奈は、表情を落としていた。徐々にその目には涙が浮かび上がりそうになる。
『それは、勿論悠奈さんの事です』
『ふぇっ!?』
次の彰の声で……、悠奈は思わず声を上げてしまっていた。その上彰の顔がもう自分の直ぐ傍にまで来ていたんだから。
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ