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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
夢殉
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としても物音がすれば気づくだろう。

 幾ら眠っていたとは言え、この異常事態なのだから。それに、あの刀真がその程度で連れ去られるとはどうしても思えないのだ。ならば、4人は其々が全く別々の理由で出て行ったのか?

――悠奈を疎ましく思っていた節のある大祐は兎も角、刀真やまり子、初音がチームを離れる意味がわからない。

 それに、あんなに……信頼している、し合っているように見えたのに。

 ならば、4人は示し合わせて出て行った?


――何故?いったいどういう理由で?


「ど、どうしよう。修ちゃん。……直ぐにあの3人を探しに行かないと、また昨日みたいに襲われたら……!」
「っ!!」

 はっと気がついて見てみると、昨日修平が抱えて寝た日本刀は、まだ傍に転がっている。

 刀真は、銃を持っているようだから、大丈夫とは思うが、本当に彼らが全員で行動しているかどうかが保障できないのだ。

「ったく……別行動は危険だって昨日アレだけ言ったってのに……! それに、アイツもどっか行くなら一言言いなさいっての!」
「悠奈、直ぐに4人を探しに行こう」
「判ってる。でも、それは私1人で行くわ」
「だが……」
「大丈夫だって、私の実力はアンタだって知ってるでしょ? それに、昨日のうちに手に入れた銃もあるしね。1時間ぐらいで戻ってくるつもりだから、それまではここにいて。……良い?それまではアンタが琴美の事を守るのよ」
「……ああ、わかった」
「悠奈さんも、気をつけてくださいね?」
「だから、大丈夫だってば。それじゃ、行って来るわね」

 悠奈はそう言うと、銃を手に、小屋から駆け出していった。



 悠奈は、咆哮を見定めるとすぐさまその方向へと向かった。
 昨日向かってきた方角じゃないほうにだ。……なぜなら、その方角の範囲は粗方捜索した為、メモリーチップ等もない。探す過程で見つけられれば、手に入れるのにこした事は無いし、もし、それが理由であれば、合流できる可能性もあるからだ。

「……どこに行ったっての!?」

 悠奈は気持ちが焦る。
 なぜなら、この展開……似ているからだ。あの時の自分達に。

 人数は違うが、こんな感じでトリガーが引かれるのだ。悪夢のステージへの。

「違う……違うよね。何てこと考えるの!」

 悠奈は自分自身を叱り上げた。


≪僕たちは信じることが出来ずに……後悔しましたから≫


 この言葉が、頭の中で過ぎる。何か、訳があって離れたのだ。確認もせずに結論を急ぐのなど、愚の骨頂だ。

「っ!!」

 悠奈は走る速度を更に上げた。

 まり子を初音を守る為に。……大祐を捕まえる為に。

 ……刀真を見つける為に。








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