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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
夢殉
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そうですね。止めて下さいよ?僕はそんなおっかない道具なんかじゃないんですから』
『あは、そうね。……彰は何かを守る力なんだから。気づかせてくれたアイツに……凄く魅かれたんだって思った。……凍りついた自分の時間を進めてくれたって』
『ふふふ……』

 彰は目を細めて笑っていた。

『いやあ、今は僕の完敗です。でも……』

 彰は手を上げつつ後ろを向いた。

『こっちでは負けませんから。……悠奈さん。また、また会いましょう』
『あ……、ま、待って!まだ話したい事だって沢山あるのにっ!』

 悠奈は思わず叫びとめた。折角会えた。夢でもなんでも会えたのにと。そんな自分を救ってくれた人の前で、他人の男の話しばかりするなんて、最低だとまで思っていた。

『そうんな事無いですよ。僕は悠奈さんの事、良く知ってるつもりです。……悠奈さん。……あの人の事、最後の最後まで、信じてあげて下さい。……僕たちは信じる事が出来ずに、後悔しましたから……今度はきっと』
『ッ……』

 彰の言葉。

 それは、1年前のゲームの事を思い出させるのに十分な言葉だった。




 次第に、世界が白くぼやけていった。
 目の前の彰の姿。輪郭は薄れていく。まるで、水彩画を水に浸けたかのように、ゆっくりと、その姿が風の中に溶けてゆく。

『……本当の時間、みたいです』
『ええ…、そうみたい。名残惜しいけどね』

 世界は全て真っ白な光りに溶け出して……、悠奈の目に見えるのはただ、輝く光だけだった。

『ありがとう……彰。会えて、良かった』
『僕も悠奈さんに出会えて……良かったです』





 そして、悠奈の夢は終わった。





――この先に待つのは現実。理不尽な事がが平然と起こる世界。――



 それでも、力の続く限り……抗ってみせる。皮肉な事に、ここで生まれた新たな絆。新たな思いと共に。




 だが、夢から覚めた現実は悪夢へと変わっていた。









:2日目 AM5:50



 悠奈の意識は、ゆっくりだが確実に覚醒していく。
 それは自分自身でもよくわかった。目元が、やや滲んでいるのは、きっと気のせいじゃないだろう。

 ……会いたかった人に合わせてくれたのは、何故だか温もりのおかげだって思えていた。

 眠りにつく前に、貰った温もり。
 当たっている部分は肩。面積的には とても少ないんだけれど、沢山、沢山感じることが出来た。……自分は温もりに飢えているんだろう。とも思えていた。

 そして、悠奈はゆっくりと目を開く。……過酷な現実、理不尽に抗う為に、戦う為に。

 今日は2日目、まだまだ、序盤戦だから。


「あ…
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