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夢殉
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『だって、僕はもう悠奈さんの傍にいられないですから。残してしまった悠奈さんが凄く心配なんですよ。……こうやって、たまになら会えるかもしれませんが。……人間ってそう都合よく出来てないみたいなんです』

 苦笑いをしている彰。この表情は知っている。嘘偽りの無い表情だと言う事を。それに、彰には裏も表もない。いつも自分に正直で真っ直ぐな人なんだから。

『でも、心配は杞憂でしたね。僕としては少し複雑なんですが』
『って、さっきから何勝手に進めてんのよ彰!』
『え? だって、あの人(・・・)は、悠奈さんのナイト様なんでしょう? ……悠奈さんを守ってくれる人が傍にいてくれるなら、僕は安心出来るんです。……でも、僕だって男ですから。ヤキモチくらい妬かせて下さい』

 悠奈は、少し拗ねたような表情だった。その顔も凄く可愛いって思える。でも、悠奈はそれ所ではなかったようだ。

『なな、何言ってんのよ!! わ、私はそんなつもりじゃ……』
『え? でも、悠奈さん。何度も言ってたじゃないですか。ナイト様だって。……嫌がられちゃったみたいですけど』

 苦笑しつつ、悠奈の肩に手をかけた。

『複雑……と言いましたが、僕は悠奈さんが幸せならそれで良いんです。……悠奈さんが幸せになってくれたら、もう心残りは無いんですから。ああ、悠奈さんが天寿を全うして、……幸せになってくれた後、僕の所に来たら! その時は、僕を選んで下さいね?』
『………』

 きょとんとしてしまう悠奈。でも、なぜ何もいえないのだろうか。さっきから彰が言ってる人は、あの人の事だってわかる。自分がなんで、こんなに魅かれてしまったのかも判らない。……目の前の男性がの事をずっと想い続ける。くれた時間の分も戦うと決めていた。……でも。

『……あはは。でもアイツは凄い男だからね。ま、今はきっと向こうはなんとも思ってないって思うけど。もしアイツが私に惚れたら……? 彰アイツに勝てる?』
『いや〜……僕としては穏便に済ませたいんですけどね?でも、悠奈さんを賭けてと言うのなら、頑張りますよ。……それでも勝てそうに無いのが悲しい所ですが』
『ええ、なんと言っても私のナイト様ですから』

 そう言って2人は笑っていた。この目の前の男、彰は確かに彰だ。だが、厳密に言えば、自分の心の中にいる彰だって理解した。……理解してなかったらもうちょっと長く夢をみられたかもしれないけど。自分は不器用だから。

『私はね、彰、アンタを自分の自殺の道具に仕掛けてた。……彰の所へ行きたいからって。……彰の時間を誰かに上げる為にって、ずっと言い訳を続けてきたんだ。組織相手に暴れたのだってそう。……彰の仇をとるって思ってた筈だった。でも……心の中ではずっと、そう思ってたってアイツに気づかされたの』
『ええ。
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