暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第13話?リトルプレイヤー
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略組一とされている。ソロで頑張る僕からしたら、そんなに興味も関心もない話だが。
《疾風》というあだ名は、第二十五層以降から攻略組の人たちから呼ばれるようになったものだが、なぜ自分がそう呼ばれるようになったかは一切不明。色んな人に聞いてみても詳細は全く掴めなかった――というか、はぐらかされた。今のところ認知度はかなり低く、攻略組とアルゴのような情報屋ぐらいしか知らないが、他の人にも広まるのも時間の問題な気がする。
「二つ名とかただ恥ずかしいだけだよ。なくなってほしいけど、多分無理だろうなー……」
?頬杖をついて、またため息をつく。目立つのは得意じゃない。むしろ苦手だ。学校でも手を挙げるのすら躊躇ってたぐらいなのだ。
「いやいや、謙遜するなよユー坊。ボスモンスターの攻撃から何十人ものレイドメンバーを守ったンダ。ピンチのメンバーに駆け寄るその迅速さは、まさに疾風(はやて)。そりゃ誰かが二つ名をつけるに決まってるサ」
?突然のアルゴの言葉に僕は目を見開く。
?フード越しに笑うその口は三日月をかたどっていた。
「……どこで、そんな細かい情報を……」
「おいおい、ユー坊。オイラを何だと思ってるンダ??情報屋だゼ?」
「…………」
?このとき、僕は今更ながら思い出していた。今僕の目の前にいるのは、情報屋のなかでもトップクラスの知名度を持つ《鼠》のアルゴだということを。
?しかし、情報屋といってもここまで詳しい情報をどこで手に入れたのだろうか。もちろんあのとき攻略に参加していた人が漏らしたという可能性もあるが、アルゴ自身が実際にあの場に居合わせていたのかもしれない。あのときの僕はいっぱいいっぱいだったから、全体を落ち着いて見る余裕はなかったし、僕が知らないうちに……という可能性はあり得ない話ではないが。
?しかし、その素晴らしく正確な情報もたったひとつだけ誤りがあった。
「……ボスモンスターの攻撃から何十人ものレイドメンバーを守った、っていうのは違うよ、アルゴ。確かに僕は守ろうとした――だけど、()()()()()()()()。特に軍から出た犠牲者はかなり多かった。……僕じゃあ役不足だったんだよ。出すぎた真似だったんだ」
?今でも脳裏には、目の前でこの世界から退場していった彼らの死に際が焼きついている。そして、そのあとの軍の人から一方的に糾弾された声も。あの攻略から数日間は、ずっとベッドから出ないほど落ち込んだのだ。
?それから色々あって、何とか自分の気持ちを整理して、攻略組として復帰して、今がある。でも、きっと、あのときのことはずっと忘れられないだろう。
?アルゴの方を見る。僕の言葉をどう返していいかわからないのか、黙ったままだ。
?そんな彼女を見て、黒い何かに侵食されそうだった自分の心を
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