第18話 赤銅の丘
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見ていると、夢の中に気配と言う概念があるか不明だが、何となしに振り向いて来た。
その顔に百代は見覚えがあった。
全く同じと言うワケでは無いが似ている顔つきに心当たりがあった。
そう、彼は――――。
−Interlude−
「――――衛宮?」
目が覚めるとそこは毎日のように見知った天井だった。
外からは朝の陽光と暖かさが障子を突き抜けて日陰を作る。
そこで自分が夢から目を覚ましたことに気付く。
「それにしても変――――」
「彼が如何かしたのかのぅ?」
「なっ!って、朝から爺が何でここにいる!?」
百代は声が聞こえる方へ振り返えると、鉄心にすかさず抗議をする。
しかし当の鉄心は気にすることなく笑顔だった。それはもう、不気味なほどに。
「モモよ。昨夜の事は覚えてるかのぅ?」
「昨夜・・・・・・あっ!」
「思い出したようじゃのぅ。儂を殴りおってから出かけた上に、探してみれば近所を騒がせた轟音の中心地で呑気に寝取るし、全く何をしたかったんじゃ」
「私が・・・寝ていた?」
鉄心の言葉に違和感を感じる百代だったが、昨夜の全容をどうしても思い出せない様だ。
唯一覚えているのは、轟音の中心地に行くために鉄心を殴ったぐらいだった。
百代が思い出せないのは訳がある。
士郎に頼まれて百代が寝てる時にスカサハが魔術により思い出させない様にしたのだ。
勿論、鉄心立会いの下でだ。
「お前が何をしようとも基本は許すが、昨夜の事は別じゃのぅ。よって罰を言い渡す。今朝は皆が鍛錬中お前だけで朝の掃除をせい」
「何だと!?」
「加えて、一子との夕方の走り込み以外の今日一日一切の武を禁ずる」
「ふ、ふざけるな、じ――――」
「川神院総代としての命令じゃ、異論は認めん!お前はそれだけの事をしたんじゃ、反省せい!」
百代はこの事に悔しそうに歯噛みする。
それに実際自覚してやった行いなので、臍を噛むしかなかった。
言いたい事を言い終えた鉄心を見送った百代は、非常に不満な心境に陥りながらも夢の事を思い出していた。
「あの丘、それに衛宮も・・・・・・随分悲しげだったな・・・・・・ん?」
そこで自分の体の異変に初めて気づいた。
「如何いう事だ?私・・・・・・気が全然感じ取れない」
それを百代の私室から少し離れている場所で、聞き耳を立てていた鉄心が溜息をつく。
(衛宮士郎の言う通り、まだ戻っていない様じゃのぅ)
士郎と鉄心は昨夜の川神院に戻るまでの間に話していたのだ。
今日の戦いの影響で百代の気が完全回復するのは最低一日以上掛かるだろうと。
その為、対策として一日の武の禁止を命じたのだ。勿
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