第五十四話 所詮は帽子の羽飾り
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しその男の子供を産んだという事です」
分かったか? ヒルダがモゴモゴしながら顔を赤らめた。ヴァレリーも顔が幾分赤い。
「閣下、陛下の父親は……」
「さあ、陛下の母君は既に亡くなっていますから……」
ヴァレリー、母親が生きていれば確認出来るが死人に口無しだ。確認のしようが無い。……自然死だよな? まさかとは思うが口封じか?
殺したのは相手の男かな。ただの火遊びのつもりだったがエルウィン・ヨーゼフが自分の子供だと分かった。女の口から自分の存在が周囲にばれるのを恐れ殺した。表沙汰になれば死刑は免れない、それどころか家族にも類が及ぶ。已むを得ないと思ったか。
いや、その前に法律上の父親、ルードヴィヒだがあれも自然死なのかな。ルードヴィヒが怪しんだので殺したって事は無いかな? 確かルードヴィヒが死んでその直後に母親が死んだ筈だ、逆だったか? いずれにしても前後して死んだ筈だ。ルードヴィヒが先に死んだとするとルードヴィヒを殺したのが母親でその母親を殺したのが父親? 逆だとするとルードヴィヒが母親を殺してそれを知って怯えた父親がルードヴィヒを殺した? 二人の遺体を確認させた方が良いかな?
しかし父親は誰だ? 宮中に出入り出来る男、それだけなら貴族だが皇太子の愛人にも近付ける男となると単純に貴族とは言えないだろう。ルードヴィヒは身体が弱く最後は寝たり起きたりだったと聞いた覚えが有る。となると貴族も訪ねるのを遠慮したんじゃないかと思う。そんな病人の傍にいるのは……、宮廷医か? 医者なら怪しまれずに近付けるし毒を盛って殺すのも簡単だ。となると今も宮中に居る可能性は有るな。
フリードリヒ四世は知っていたかもしれん。エルウィン・ヨーゼフはゴールデンバウムの血を引いていないと。だから皇太孫にしなかった。そしてこのままではブラウンシュバイクとリッテンハイムの後継者争いで内乱が生じ帝国はボロボロになると思った。だからあんな事をした……。
考え過ぎかな、しかしそれが事実ならエルウィン・ヨーゼフの父親と母親はフリードリヒ四世が始末した可能性もあるな。息子の死に不審を感じ極秘に調べた。そして真実を知り二人を始末した。エルウィン・ヨーゼフを殺さなかったのはどうせ皇帝にはなれないと思ったのだろう。誰が権力を握っても殺されるか廃立されると思ったから殺さなかった。エルウィン・ヨーゼフまで死んでは流石に怪しまれると思ったのかもしれない。
「閣下?」
気が付けばヒルダとヴァレリーが俺を見ていた。俺を呼んだようだがどっちだ?
「何度もお呼びしたのですが」
「ああ、すみません、准将。ちょっと考え事をしていました」
なるほど、道理で二人とも不安そうな顔をしているわけだ。俺は思考の海に沈没していたらしい。悪い顔でもしていたかな。
銀河帝国には皇位を継
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