既死廻生のクレデンダ 後編
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が、有害性は低くあの世界のそれと比べればないに等しい。
上にオゾン層があり、太陽型恒星があり、大気が存在し、雲がある。
つまり、この上空にひたすら広がる空間は天井などではなく、ここはドームでもない。
環境維持装置など無く……いいや、それは正確ではない。
正しくは、この星には現状で環境維持装置を持つ必要性がない。
なぜなら、汚染されていないからだ。
雲に覆われて見えなかった筈の、『蒼穹』と呼ばれる――
「青……空……これが、青空!!」
何故空が青いのか。その理由は、あの世界では青という色と共に失われてしまった。
でも今、目の前に青がある。限りなく広がる無限の青がある。
これが、青空なんだ。そんな生産性のない言葉を何度も何度も繰り返す。
抑えきれない正体不明の衝動が、自分の表情を変動させていく。
笑顔。確か、ミランダがそのように呼んでいた、正と生の感情。
これが、この全身の震えが「美しい」と感じた証ならば。
この『興奮』よりもさらに高ぶり、なのに安らかなまでの感情は?
「1000号………見てるか?」
――そちらの目を通して、見えている。
「美しいという言葉の意味は判然としないが、きっとあれを美しいと言うに違いない」
――当機も同じ感想を抱く。
「一緒に、見れたな」
――そちらの望んだことである。
「もう、動いてもいいのか」
――当機の補助なしにそちらが円滑な行動を取れる可能性は0%である。
「そうか………」
そのあんまりな回答を、否定できなかった。
同時に、クレデンダとして生きてきた「人生」がやっと返ってきた気がした。
俺とお前は一心同体。どちらが欠けても適切でない。
胸に、何か美しいとは違う暖かさがこみ上げてきた。
それを聞いてみようかと思っていると、1000号から話しかけてきた。
――提案がある。
「なんだ?」
――この世界には、地球で言う統合情報群が「インターネット」と呼ばれる形式でほぼ無制限のアクセスを許している。
「情報制限がないのか。クレデンダでは考えられないな。11階級個体である俺には統合情報群など飾りに等しかった」
――11階級固体「であった」が正確である。話を戻す。そのインター・ネットで情報を収集した結果、この世界には機械類に「ペットネーム」と呼ばれる正式な名前以外をつける文化が存在する事が判明した。人間の名前の場合は「ニックネーム」である。
「ペット?ニック?なんだそれは。古代語か?」
――それはこの際は関係ない。ともかく、こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ