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【短編集】現実だってファンタジー
既死廻生のクレデンダ 後編
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が、有害性は低くあの世界のそれと比べればないに等しい。

 上にオゾン層があり、太陽型恒星があり、大気が存在し、雲がある。

 つまり、この上空にひたすら広がる空間は天井などではなく、ここはドームでもない。
 環境維持装置など無く……いいや、それは正確ではない。
 正しくは、この星には現状で環境維持装置を持つ必要性がない。
 なぜなら、汚染されていないからだ。

 雲に覆われて見えなかった筈の、『蒼穹』と呼ばれる――

「青……空……これが、青空!!」

 何故空が青いのか。その理由は、あの世界では青という色と共に失われてしまった。

 でも今、目の前に青がある。限りなく広がる無限の青がある。

 これが、青空なんだ。そんな生産性のない言葉を何度も何度も繰り返す。

 抑えきれない正体不明の衝動が、自分の表情を変動させていく。

 笑顔。確か、ミランダがそのように呼んでいた、正と生の感情。

 これが、この全身の震えが「美しい」と感じた証ならば。

 この『興奮』よりもさらに高ぶり、なのに安らかなまでの感情は?


「1000号………見てるか?」


 ――そちらの目を通して、見えている。


「美しいという言葉の意味は判然としないが、きっとあれを美しいと言うに違いない」


 ――当機も同じ感想を抱く。


「一緒に、見れたな」


 ――そちらの望んだことである。


「もう、動いてもいいのか」


 ――当機の補助なしにそちらが円滑な行動を取れる可能性は0%である。


「そうか………」


 そのあんまりな回答を、否定できなかった。
 同時に、クレデンダとして生きてきた「人生」がやっと返ってきた気がした。
 俺とお前は一心同体。どちらが欠けても適切でない。
 胸に、何か美しいとは違う暖かさがこみ上げてきた。
 それを聞いてみようかと思っていると、1000号から話しかけてきた。


 ――提案がある。


「なんだ?」

 
 ――この世界には、地球で言う統合情報群(アンダーネット)が「インターネット」と呼ばれる形式でほぼ無制限のアクセスを許している。


「情報制限がないのか。クレデンダでは考えられないな。11階級個体である俺には統合情報群など飾りに等しかった」


 ――11階級固体「であった」が正確である。話を戻す。そのインター・ネットで情報を収集した結果、この世界には機械類に「ペットネーム」と呼ばれる正式な名前以外をつける文化が存在する事が判明した。人間の名前の場合は「ニックネーム」である。


「ペット?ニック?なんだそれは。古代語か?」


 ――それはこの際は関係ない。ともかく、こ
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