既死廻生のクレデンダ 後編
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り、宇宙戦争状態に突入。宇宙派は太陽系内の移住可能惑星を次々に破壊して太陽系そのものを居住不可能な状況にしようとしたそうだが、太陽防衛圏での最終決戦で宇宙派の殲滅に成功したそうだ。
おかげで太陽系は地球と太陽しか残らず、引力変動を抑えるために重力偏差調整筐体を多数打ちだし、これへの干渉を防ぐために宇宙軍の創立禁止を徹底することになった。結局は禁は破られるし、廃棄しようとした宇宙技術を保持し続けたミランダの一派がクレデンダとして独立する内部分裂のきっかけになったのだが。
そういえばクレデンダは元々ミランダの一派から派生した存在だったが、ミランダが誕生する以前は地球外移民派というのが存在して地球圏外へと旅立ったらしい。
以降彼等とは完全に決別したらしいが、彼らは新天地を発見できたのだろうか。太陽系に留まること決めた結果ミランダもクレデンダも滅んだが、彼らがその後無事に第二母星を発見できたかは不明である。
しかし、それにしても不思議な光彩だ。見ていると、意識が吸い込まれていくような形容しがたい錯覚を覚える。なのに、その色を見た時、異様なまでに惹かれた。
発汗と、心臓の鼓動の加速。視界がクリアになっていくような快感と、論理的な思考の薄れ。
ただ、それをもっと見たいと思った。
「………まさか」
シャッターからベランダに出て、建物側面の炭化水素で構成された空のパイプを伝って建物を上る。
この階層は意外と高い場所にあったらしく10メートルほど上るとあっさりと建物の屋上へたどり着いた。表面が劣化したコンクリートに手をついてよじ登り、非効率な電波データの送受信を行っている古代のアンテナらしきものが設置された、更に3メートルほど高い構造物へ跳躍する。
「……やっぱりOTの補助で本格的に弄らなければ、跳躍は最大で6メートル程度が限界か……クレデンダの身体とは本当に性能が良かったのだな」
足の筋肉の一部に想像以上の負荷がかかり、軽度の痛覚が膝を襲う。
だが、そんな話は今は後回しだ。そんな事より確認したいことがある。
空を見上げ、よく目を凝らした。
空から降り注ぐ光を分析。
極々僅かなエックス線、紫外線と若干の可視光線、赤外光が検出される。
上空には地球とほぼ同じ大気層が存在し、上方にはオゾン層らしき断層が確認できる。地球ではオゾン層は数度破壊されたのち、オゾン層と同じ機能を持つ代価ガスを大量散布することで害を防いでいたが、あれは天然のオゾンらしい。
そして、光源は――間違いなく、太陽型恒星だ。
地球からは粉塵の雲でぼやけて見えない筈の太陽が、あんなにもはっきりと確認できる。
空をもっと見渡すと、純粋な水分によって構築された雲がまばらに広がっている。若干の塵は含まれている
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