既死廻生のクレデンダ 後編
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康に害はない程度に純度の高い空気だ。呼吸に問題はない事を確認して、外のベランダらしき狭いエリアへ出る。
外を見渡して、絶句した。
いま自分の居る質の悪い建築物の近くには、見たことのない緑色の生物が大量にひしめくエリアが存在した。太陽光を吸収しようとするように突き出た夥しい緑、緑、緑……クレデンダの世界には、どこにも存在しなかったもの。
異様。こちら側の常識の範疇を越えている。あまりの驚愕に一瞬思考が停止した。あんな光景は、今まで一度も見たことがない。そもそも緑という色もミランダの市街地に攻め込んだ際に初めて知った色でしかなく、それが10平方メートルを超えた広大なスペースを埋め尽くす。
中には見たこともない色の丸いパーツを突き出した、全く意図不明の生物が群生するエリアもある。
「あれは、なんだ。まさかあれは……ミランダの擁していた『植物』の一種か……!?」
クレデンダの有しない非汚染土壌の上で自生している、何の生産性もないただの植物。
かつては自然界と呼ばれる人間の介在しない空間で生息し、地球の大部分を覆っていたと聞いている。環境の変化や地球全体の汚染でその存在は瞬く間に減少していき、最終的には種子やDNAデータを除いてすべてが絶滅したそうだ。それが、目の前で確かに生命活動を行っている。
データと照らし合わせると、確かに植物と合致する部分が数多く存在した。見覚えのある樹木タイプの植物もある。
「こんな環境、向こうじゃミランダの最上流層でもないと所持できないぞ……!!」
ミランダには身分性はないが、自由を重んじる分貧富の差は大きい。
そのため、土壌管理と植物の管理は、ミランダの文化で言うならば『金持ちの道楽』に当たる光景だった。そもそも植物とて種子かDNAを基に再生させなければいけない代物だ。それともこの世界では、これはさほど珍しい光景ではないのだろうか。
植物の成長に必要な光源はどこから得ているのだろうか。常に空が曇っている地球では、常に人工光源を用意する必要がある。ベランダから身を乗り出して上を見上げた。
「………………???」
見たことのない、どこか透明感を感じる未知の色が、そこにはただひたすらに広がっている。
継ぎ目が見えない。光源が何なのかもよく分からない。恐らくは生活圏ドーム内だと思うが、この窓からでは建物が邪魔で上手く見通せない。とにかく、地球では見たこともない規模の広さだ。
かつて月に建造が計画されたテラフォーミング計画、「ムーンスフィア」が設計通りに完成すればこれだけの規模になったのではないだろうか。あれは結局、テロリストが月を物理的に破壊してしまったことで実現不可能になった。
確か6000年前にミランダ地球派とミランダ宇宙派の党争があ
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